研究課題/領域番号 |
16K21231
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
松木 佑介 長崎大学, 経済学部, 准教授 (10733660)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 政府調達 / オークション理論 / 仮説検定 |
研究実績の概要 |
本研究では、オークション理論の基本モデルである独立私的価値(IPV)モデルと、現実で観察されるデータがどこまで整合するかについて、わが国の公共工事など政府調達の入札を中心に分析を行う。回帰係数による単純な検定手法や、ノンパラメトリックな手法を分析に用いる。併せてノンパラメトリック推定の具体的な手法について検討し、実装も行う。 これまでの研究では、条件付き期待値の単調性と、線形回帰における説明変数の係数の関係について確認した上で、IPVモデルと入札データの整合性について検定を行った。棄却する場合はIPVモデルではデータを説明できないことを意味し、棄却しない場合は説明できる可能性が残ることを意味する。分析には、国土交通省関東地方整備局の、指名競争入札方式による公共工事契約の入札データを使用した。契約数の多い10工種について検定を行ったところ、3工種では棄却され、結果は工種によって異なることが分かった。棄却されなかった工種については、入札額分布の入札者数に関する単調性の検定や、工費と入札額を対応させる入札者の戦略に関する議論などが次の段階になる。 並行して学会・研究会に参加して本研究に関連する情報を収集し、ノンパラメトリック推定の諸問題に関するレビューも行った。特に予定価格などの量的変数と部局など質的変数を含む混合データの取り扱い、境界付近でのバイアス修正や、カーネル推定での交差検証によるバンド幅選択などに関する文献を調査した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
IPVモデルの現実妥当性についての検討の第一段階を完了し、また計量手法に関しても、実装の着手は来年度以降に延期したものの、推定に関する必要なレビューをおおよそ終えたため。
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今後の研究の推進方策 |
IPVモデルの整合性について更に広く調べるため、地方自治体など他の発注主体の入札データも収集・整備し、必要に応じて理論モデルの構築を行う。構造推定や検定のための多変量ノンパラメトリック推定手法に関する研究も進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度は第一段階の分析、手法の調査や情報収集に集中し、複雑な解析を行うためのソフトの購入を延期したことによる。
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次年度使用額の使用計画 |
ソフトウェアの購入に充てる予定。
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