最終年度である本年度は気管支上皮に発現するΔNp63が上皮から産生される炎症性サイトカインおよび内因性プロテアーゼ阻害因子の遺伝子レベルでの転写活性およびタンパク質レベルでの産生を制御することを明らかにした。
これまでの成果を総合すると、ΔNp63はウイルス感染に対する気管支上皮の反応を調節すると同時に、ΔNp63そのものの発現はプロテアーゼの影響を受けることが分かった。また、ΔNp63の発現量によって炎症性サイトカインの産生や内因性プロテアーゼ阻害因子の発現量が調節された。プロテアーゼは気管支喘息の増悪因子の一つであるハウスダストに含まれていることが知られている。したがって、気管支上皮に発現するΔNp63は気管支喘息の増悪における2つの主要な要因、すなわちウイルス感染およびプロテアーゼに対する曝露を結びつけている可能性が示唆された。
以上の内容を英文論文として投稿し、受理された。
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