研究課題
平成29年度は、平成28年度に行った実験により質量分析でATL/WDLSのみで同定され、免疫組織化学(IHC)でALT/WDLSとLipomaの判別能が認められた、CCDC180とLRRC4について、IHCのさらなる詳細な解析と細胞学的検討を行った。1)CCDC180、LRRC4、既知の診断マーカーであるMDM2およびCDK4でIHCの判別能を比較検討した。その結果、CCDC180は既知の診断マーカーと比較し、感度は優れていたが特異度は劣っていた。LRRC4はMDM2と同等であったが、CDK4と比較し特異度は優れていたが感度は劣っていた。CCDC180、LRRC4、MDM2およびCDK4の4分子でパネル解析を行ったところ、3分子以上が陽性であった場合は、感度、特異度ともにMDM2とCDK4の併用よりも向上した。2)ヒト高分化型脂肪肉腫由来細胞株93T449を用い、CCDC180とLRRC4の細胞学的検討を行った。その結果、CCDC180とLRRC4の発現抑制でWST-8、Colony formation assay、Ki-67 labeling analysisにて、増殖能が有意に抑制された。CCDC180の発現抑制では遊走能および浸潤能が有意に抑制されたが、LRRC4の発現抑制では遊走能に変化はなく、浸潤能は有意に亢進した。CCDC180の発現抑制では、シスプラチンに誘導されるアポトーシス効果が増強されたが、LRRC4の発現抑制では、変化は見られなかった。4)93T449細胞におけるCCDC180、LRRC4と脂肪細胞分化との関係について解析した。93T449細胞では、脂肪細胞分化によりCCDC180、LRRC4の発現が低下し、両者の脂肪細胞分化への関与が示唆された。本研究により同定したCCDC180とLRRC4は、脂肪肉腫の診断や治療マーカーとしての可能性が示唆された。
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