研究課題/領域番号 |
16K21253
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研究機関 | 岩手県立大学 |
研究代表者 |
庄司 知恵子 岩手県立大学, 社会福祉学部, 准教授 (30549986)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 自主防災組織 / 復興 / 防災 / 地震 / 災害 / 自助 / 共助 |
研究実績の概要 |
秋田県仙北市への行政側聞き取りより、組織率の伸び悩みは変わらないが、一つの市でも、組織化において多様なバリエーションがみられた。8世帯小集落で組織形成があり、消防OBの存在や日常の関係性が重要な意味を持っていた。水害をうけ、川に沿った形で行政区を超えた組織形成が試みられたが、行政区ごとの言い分があり、組織化に結び付かなかった。継続的に調査をしている豪雨災害集落では、過疎高齢化を考えると目指すべき組織の在り方が模索できず、形成には至っていない。「自主防災組織を作る」ことだけに終始してしまっては、実態が伴わない。生活の論理からの形成が求められる。 石巻市役所総務部危機対策課の調査を行った。組織率は2018年8月時点で64.6%、活動が幽霊化している災組織の把握が難しい。復興交付金による補助制度(R2年まで)により、防災センターの建設などを行ったが、自主防災組織は補助金の受け皿というのが現実。コミュニティ復興と自主防災組織の関係性については聞いたところ、「そのつながりはない」とのこと。そもそも、コミュニティ形成・復興については地域共同課の管轄であり、防災課は関わっていない。平成26年から防災士の養成を行っており、今後の活躍の在り方を考えていく必要性があり。 これまでの調査から「被害」の内容を想定した組織化形成の在り方を捉える必要があると考え、自主防災組織率100%の奄美大島の住用地区・笠利地区の行政区長に聞き取りを行った。災害の種類、生活における社会関係の形成論理の違い等、東の社会とは異なった点が見えてきて、非常に興味深いものであった。今後の研究に結びつける予定である。 東日本大震災と同時期に地震があったNZクライストチャージ在住の日本人に、当時の状況を聞く機会があり、復興と住民の関係性に興味をもった。2月に現地調査を予定したがcovid19のために調査はキャンセルとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルスの感染拡大を防止するため、年度末に予定していた調査がすべてキャンセルとなった。
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今後の研究の推進方策 |
2020年度ついては、最終年度となるが、covid19の状況がどのようになるかわからず、調査の実施は困難が予想される。作業は大きくみて3つを計画している。①これまでの調査の振返りとして、二戸市・仙北市・石巻市・盛岡市への補足調査を進め、知見を整理し、論文を書く。②奄美大島における聞き取り調査。これまで得られた知見を深め、次の研究展開につなげるために、奄美大島の集落へ聞き取りに行く。東と西の社会における組織化の論理の違いを明確にする。③ニュージーランドにおける復興と防災の調査。これまで得られた知見を深め、次の研究展開につなげるために、ニュージーランドクライストチャーチへの視察を行う。政府が責任をもって、復興に取り組むクライストチャーチにおいて、住民と復興の関係がどのようなものなのか、また、日本との違いを明らかにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
covid19の影響で、予定してた調査を遂行できなかったため。
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