研究課題/領域番号 |
16K21253
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研究機関 | 岩手県立大学 |
研究代表者 |
庄司 知恵子 岩手県立大学, 社会福祉学部, 准教授 (30549986)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 自主防災組織 / 東広島市 / 住民自治協議会 / 地域運営組織 |
研究実績の概要 |
令和3年度は、サバティカル研修の機会が得られ、1年間広島県に滞在していた。そこで、東広島市をフィールドとして、住民自治協議会(地域運営組織)に焦点を充て、官製コミュニティと住民コミュニティ(むら)のかかわり(久芳地域運営組織と11集落との関係)、住民自治協議会を軸とした、市庁内における横の連携(地域共生推進課、危機管理課、農林水産課、地域づくり推進課)をテーマに調査を行った。 自主防災組織(自主防)の形成において、行政側のヒアリングより、住民自治協議会の存在が大きな役割を果たしたという点が見えてきた。東広島市では、平成21(2009)年1月『市民協働のまちづくり指針』策定に向けての取り組み開始し、行政区制度を廃止し、行政側の管理の枠組みが927行政区から48住民自治協議会(小学校区単位)へと縮小した。これにより、平成25年ほどまでは25%ほどの組織率であった自主防が、住民自治協議会を枠組みに再編され、令和3年度は一つの空白地域を残すのみとなり47自主防が形成され、組織率は100%に達しようとしている。 住民自治協議会を枠組みとして自主防を再編したことにより、平成30年度の豪雨災害時は、避難所開設に際して、行政と自主防の連携がスムーズに行われた。しかし一方で、再編前の自主防も残っている地域があり、コミュニティ側にとっては、地域の代表性についての課題を残している。とはいえ、行政側としては、住民自治協議会=自主防としての理解で対応をしており、もとの自主防をどのように位置づけるかについては住民自治協議会の裁量としている。 自主防と住民自治協議会との関係は、ある意味政策推進において「マッチ」しているのだが、福祉や農林水産の分野では、この枠組みで政策展開することの難しさが聞かれた。また住民側としても、「管理」の主体であるとの理解が大きく、既存のコミュニティとのズレについて話が聞かれた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナの感染拡大の影響を受けて、十分な調査を進める難しさがあった。しかしながら、令和3年度は、サバティカル研修の機会が得られたことから、西日本にフィールドを得ることが可能となり、これまでの研究の遅れの巻き返しがはかれた。
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今後の研究の推進方策 |
コロナの感染拡大の影響を受けて、令和元年度から十分な調査を進める難しさがあった。しかしながら、令和3年度は、サバティカル研修の機会が得られたことから、西日本にフィールドを得ることが可能となり、これまでの研究の遅れの巻き返しがはかれたと思う。 東広島市の調査を通して、管理する側(行政)の論理について捉えることが可能となった。この視点をもとに、これまでの行政調査(秋田県仙北市、岩手県二戸市)の調査内容をふまえ、最終的なまとめの作業を行っていく。また、同様に地域運営組織の形成と様々なコミュニティ政策の枠組みの再編を図っている岩手県奥州市もフィールドとし、これまでの調査の相対化を図っていきたいと思う。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナの感染拡大の影響を受け、もっとも支出が多いものと予想される調査費用が掛からなかったため。次年度は、近隣地域の調査を行う予定であり、調査費用として利用する予定である。
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