本研究の目的は、地域包括ケアシステムの中で「時々入院、ほぼ在宅」を実現するための病院と地域の看護職が多機関間同職種連携をするために必要な能力を明らかにすることである。病院から在宅へと療養場所を移行する際に関わる看護職へのインタビュー調査では、患者・療養者とその家族の思いや希望を中心につながることが明らかとなった。患者・療養者とその家族の思いや希望を中心につながることが看護職間連携の基盤と考え、看護職間連携を、患者・療養者とその家族の意思決定支援、看護職間の連携協働の認識、看護職自身の協調性といった概念とともに検討する。そのため、先行研究と文献から作成した多機関の看護師との連携に関する実践行動とIPW自己評価尺度および、協調性尺度を用いた調査票を作成し、A県内の一般急性期病床を有する病院、診療所、訪問看護ステーション、介護老人保健施設、特別養護老人ホームから各100施設を無作為抽出し調査を実施した。無作為抽出した合計500施設に文書で研究協力依頼を行い、同意が得られた施設に自記式質問紙を郵送した。調査票を1624名に配布し、741件の回答を得た。多機関の看護師との連携に関する実践行動では、約6割の看護師が、他機関の看護師を患者・利用者支援のチームメンバーと認識して関わっており、約7割の看護師が患者・家族の思いや希望を他機関の看護師に伝えていた。一方、自施設の看護体制を他機関の看護師に伝えることや他機関の看護師へ情報のフィードバックを行うといった項目は、3~4割の看護師によって実践されていることが明らかとなった。
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