研究課題/領域番号 |
16K21262
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研究機関 | 首都大学東京 |
研究代表者 |
畠山 久 首都大学東京, 学術情報基盤センター, 助教 (20725882)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 防災学習 / 学習システム / 避難訓練 / 拡張現実感 / ヒューマンインターフェース / システム開発 / 教材開発 |
研究実績の概要 |
本研究では、没入型ヘッドマウントディスプレイ(以下、HMD)を用いて災害時の行動を学習するシステム・コンテンツを開発することを目的としている。 研究の実施にあたり、建築・都市・安全・心理・認知科学等の分野の先行研究・関連研究の情報収集と調査を進めた。そして、提案システムの開発にあたり、擬似的な状況下で体験を通じた学習を進める上で学習者に提示する要素や体験する出来事について検討した。学習者にその場の状況を見て判断・行動することを促す目的や、学習時の移動を徒歩で行わざるを得ない制約などから、初期コンテンツでは「都市部における地震災害」に焦点を絞ることとした。都市を訪れている際に屋外で強い揺れに見舞われたときにどのような危険性があるか、どのような二次災害の危険性があり発災後の行動にどのように影響するかを体験する内容でシナリオ作成を進めた。 また、上述の検討を踏まえ今年度はプロトタイプを開発した。既存の街区データを用いて移動可能な範囲が500m四方ほどの街を作成した。学習システムに必要な要件のうち、「学習者が街の中を移動できる」「学習者が現在位置を確認できる」などインタフェースに関わる主要な点を実装した。一部の建造物には、地震の揺れなどのトリガーによって建造物の一部が崩壊・破損し落下する処理を組み込んだ。現時点では、HMDを装着した上でVR空間内を移動し、窓ガラス落下等の二次災害を体験できるシステム・コンテンツとなっている。平成29年度の評価実験に向け、シナリオをコンテンツ内に反映すると共にシステムの開発を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の計画通り、災害時の主体的な行動を学習することを目指し、システム・コンテンツの要素を検討した。そして、インタフェースを中心としたプロトタイプシステムと、「都市部における地震災害」を想定したコンテンツを開発した。 利用予定であったセンサー機器の調達が難しくなり、センサーを用いてVR空間内に学習者の身体の動きを反映するまでは至っていない。また、学習者の主体的な判断・行動の変化を測るための方策の検討を進めているが、予備調査には至っていない。
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度に開発したプロトタイプをベースに、シナリオに沿った擬似体験ができるシステム・コンテンツを開発する。そして、年度内にはシステム評価実験の実施を目指す。また、擬似体験による学習で、災害時における「主体的な行動」の変化を調べるための方策について検討を進める。 本研究は教育現場で実際に利用できることを目指しているが、当初利用予定であったHMDを装着した学習者の歩行動作をセンサーで取得する機器がメーカー都合で予定通り調達できなかった。このため、既存のモーションセンサーでの代替環境開発か、他の機器の導入を検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初利用予定であった歩行動作をセンサーで取得する機器がメーカー都合で調達できず、予定通りに執行できなかった。
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次年度使用額の使用計画 |
学習者の身体運動を取得するセンサー機器・システムを調達し、プロトタイプの改良を進め評価実験を行う。また、開発したシステム・コンテンツについて国際会議を含む学会発表を行う。
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