本研究では、没入型ヘッドマウントディスプレイを用いて災害時の行動を学習する災害体験学習システム “もしも” を開発した。 本年度は、これまで開発したプロトタイプ版に新たなゲーミング用フットコントローラーを組み込み、足の動きをシステム内に反映させる仕組みを実装した。これにより、ヘッドマウントディスプレイを装着した学習者がスツールに腰掛けた状態で足を動かすことで、VR空間内での学習者の行動として反映されるシステムが構築できた。没入感を高める一方で、学習中の安全も確保できる形を実現できた。 並行して、同システムで利用する学習コンテンツを開発した。前年度の検討を踏まえ、「ビルが建ち並ぶ都内」で「首都直下地震(震度Ⅶ相当)が発生した」状況に限定した地震災害のシナリオを設定した。そして、この想定での倒壊物など揺れによる被害を空間内に配置した上で、ビルから新たにガラス破片が落下してくるなどユーザの接近によって起こるイベントを配置した。システムとコンテンツを組み合わせることで、VR空間において地震災害の発生を体験し学習するための提案システムを構築することができた。また、本システムでは教育現場などでの利用も見据え、市販品のヘッドマウントディスプレイやフットコントローラーを用いている。特殊な機材を用意しなくても利用できる学習システムを開発できたことも一つの成果と考える。 全体としてシステム開発・コンテンツ開発に想定以上の時間がかかり、研究期間内に評価実験を実施できなかった。評価項目の検討を含め、今後継続して検討したい。
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