軟質分散Cu粒子の分解および荷重伝播挙動は、粒子分散強化による加工硬化プロセスを制御するうえで、高強度鋼の変形能を改善するための重要な特性である。本研究では、フェライト母相中のCu析出粒子の分解および応力分配挙動が鋼の力学特性にどのように影響を及ぼすか理解するために、放射光および中性子を用いて調査を行った。圧延加工によりおよそ35nmの球状Cu析出粒子を圧延方向に伸長させた後、相当ひずみが増加するに伴い分解した。また、Cu析出粒子はフェライト母相よりも高い応力を分担する。その理由として、Cu析出粒子内に結晶粒界が存在しないこと、もしくは転位源密度が低いからであると考えられる。
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