本研究は、中国東北がなぜ・どのように新たな穀物倉庫としての地位を確立できたのかを、これまでの稲作研究を踏まえ、畑作農業を長期的な視角に立ち、歴史段階的に解明することにより、中国東北の農業発展全体のプロセスを明らかにすることを目的とする。 4 年間の期間内の前2年は、集中的に資(史)料の収集・調査・整理を行うことを予定しており、1年目の28年度は、関連研究のサーベイおよび資(史)料発掘・収集・整理に重点をおいて、研究を進めた。 中国の黒竜江省、吉林省の関連機関で資料収集を行い、日本国内では、北海道大学附属図書館、国際日本文化研究センター図書館で資料収集を行った。黒竜江省、吉林省の関連機関においては、新たな史資料も発掘することができた。とりわけ計画経済期の農業機械利用状況などを理解するうえで重要な資料を入手したことの意味は大きい。計画経済期の畑作農業研究に不可欠な史料であると考えている。北海道総合図書館には、「和文パンフレット」関連資料が大量に貯蔵されている以外にも、北方資料室には、旧外地関係資料や高岡・松岡旧蔵資料、高倉文庫など、貴重な農業関連資料が多い。北海道総合図書館では、中国東北の戦前農業に関連する数多くの資料を入手することができた。国際日本文化研究センター図書館では、近年中国で出版された資料集をチェックし、「満州」(中国東北)農業に関連する資料の発掘を行った。 現在、国内外で収集した資料を調査・整理を進めている段階である。
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