研究課題
アルツハイマー病の認知・記憶機能障害の原因分子と考えられているamyloid β(Aβ)重合体が結合する受容体としてpaired immunoglobulin-like receptor B(PirB)が近年同定された。本研究は、PirBに対する特異的かつ効果的な機能制御法を開発することを目的とした。研究代表者は、神経再生阻害因子の受容体として知られるNogo receptor-1に対する内在性アンタゴニストであるlateral olfactory tract usher substance(LOTUS)がPirBと相互作用することを発見した。LOTUS-PirB相互作用が、Aβ重合体が結合するPirBの分子機能に及ぼす影響を調べたところ、COS7細胞に強制発現させたPirBへのAβ重合体結合が、LOTUSとの共強制発現によって抑制されることが判明した。また一方で、COS7細胞に強制発現させたPirBに対するAβ重合体結合が、研究代表者が所属する研究室所有の抗PirB抗体の添加によって抑制されることも明らかにした。これらの成果は、LOTUSあるいは抗PirB抗体がAβ重合体結合により誘起されるPirBの生理機能を阻害する可能性を示唆する。Aβ重合体のPirBへの結合はリン酸化Cofilinおよびpostsynaptic density protein 95(PSD-95)を減少させることによって、アルツハイマー病の認知・記憶機能障害を引き起こすことが報告されている。現在、Aβ重合体-PirB結合によるリン酸化CofilinおよびPSD-95の減少に対する、LOTUSおよび研究室所有の抗PirB抗体の抑制効果についての検証実験を遂行中である。
すべて 2018 2017
すべて 雑誌論文 (6件) (うち国際共著 1件、 査読あり 6件、 オープンアクセス 5件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件)
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