恒常的KrasG12D発現に加え、CRISPER CAS9システムを用いてp53遺伝子をノックアウトしたマウス膵癌オルガノイド細胞株を用いて、同所移植モデルを確立した。一度皮下腫瘍を作り、それを3㎜大に刻んだ腫瘍片を別のマウスの膵臓に縫い付けることで、安定して4週間後に10㎜大の膵腫瘍を得ることができた。このモデルを使って、腫瘍浸潤T細胞の解析を行った。NKT細胞のフローサイトメトリーに関しては、type I NKT細胞は解析可能であったものの、type II NKT細胞に関しては解析困難であった。これは、日本で手に入るモノビオチン化CD1dモノマーの質の問題であると考えられた。米国留学時代のNIH tetramer core facilityを用いて作成したsulfatide loaded CD1d tetramerとは染色パターンが大きく異なっていた。また、膵発癌モデルマウス(LSL-Kras/pdx-1 creマウス)に関しては、野生型を背景としたマウスと、CD1dノックアウト(KO)マウスを背景としたマウスで、Pain病変の数を比較した。経時的な病変の数は、CD1d KOマウスで優位に増加していた。一方、Ja18 KOマウスに関しては、これまで一般的に使われてていたマウスの欠点(一部のTCRレパトアに異常がある点)を補った新しいJa18 KOマウス(Traj18 KOマウス)が開発されたため、そのマウスを入手した。しかし、原因は不明だが、このTraj18 KOマウスを背景とした(LSL-Kras/pdx-1 creマウス)は期間中に産まれてこなかった。出生後離乳前に死亡するマウスを多く認めたことから、type I NKT細胞の欠損と関連があると考え、SPF条件下での繁殖を行っている。
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