研究課題/領域番号 |
16K21282
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研究機関 | 大阪商業大学 |
研究代表者 |
湯川 創太郎 大阪商業大学, 経済学部, 講師 (30596945)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 地域交通政策 / 公共交通 / 国際交流 / 東南アジア / インドネシア / タイ / ライドシェア / Grab |
研究実績の概要 |
平成30年度の研究活動は、(1)インドネシアでのデータ収集・ヒアリング調査と、(2)タイでの研究者の打ち合わせに大分される。個々の研究活動の内容は下記の通りである。 (1)昨年度に引き続き、ジョグジャカルタ州、ガジャ・マダ大学の交通・物流研究センターを訪問し聞き取り調査を行った。平成30年度の調査においては、公共交通の利用客減少に直面している複数の自治体(中部ジャワ州の複数の県・市)を訪問し、それに対する対応策の聞き取りを行った他、当該地域で運行を行っている事業者組合や運転手への聞き取りも行い、利用者減少の実態の確認を行った。なお、自治体の改善事例については、自治体関係者の視察などを通して広域での情報のやり取りが行われており、問題が全国的に認識されている事が明らかになった。また、公共交通利用者の減少原因の一つとして、オンラインで呼び出し可能なGrabなどのタクシー・バイクタクシー(いわゆるライドシェア)の存在が挙げられ、その現状について大学の研究者との議論も行った。 (2)昨年度に引き続き、タイ北部、ウドンタニ県の総合大学である、ウドンタニ・ラジャパッド大学を12月に訪問し、研究者と打ち合わせを行った。インドネシアと同様に、ライドシェアの進出が問題となりつつあること、地方部でもこれまで行われてこなかった公共交通マスタープランの策定が検討されている事を確認した上で、今後のヒアリング調査を行うにあたって必要な手続きの確認を行った。また、2月に、バンコク近郊のサラブリ県、東北部のナコーンラチャシマー県、チャイヤプーム県の主要都市を訪問し、タイの地方都市の公共交通や道路交通状況の実情を確認した。 ここまでの研究成果については、平成30年6月に実施された日本交通学会関西部会の例会で報告すると共に、9月にフランス、パリの高等社会科学研究所で開かれたワークショップで報告をおこなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
分析に必要な資料の入手可能性、ヒアリングの実施可能性については研究開始段階で不明な点も多かった事、また、平成30年4月に大学を移籍し、研究組織を再構築するのに手間取った事から、以下のようにいくつかの調査が未完了となっている。 インドネシアのミニバスの制度に関しては、ジャワ島中部の調査によってその実態をある程度解明することが出来たが、同時に全国的な動向の確認を首都ジャカルタで行う必要があり、それについてはヒアリングに必要な手続きを行っている段階である。また、当初計画していた経済効果の分析についても統計資料の解析を行っている段階である。 また、諸外国との比較制度研究に関しても、マレーシア(平成28年、29年に調査を実施)に関しては必要な資料が揃っているものの、タイについてはヒアリングに必要な手続きを行っている段階である。
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今後の研究の推進方策 |
平成30年度の大学移籍による研究の遅延に関しては、研究予算の未使用額も出ている事から、研究期間を1年延長する。延長した平成31年・令和元年度の研究において、現在手続きを行っている段階であるインドネシアの首都ジャカルタ、タイの地方都市でのヒアリング調査を実施する。また、これまでの調査で明らかになったミニバスの制度面の動向分析と、収集した統計資料を融合させた分析の可能性についても令和元年度中に結論を出すものとする。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成30年4月に大学を移籍し、研究体制の再構築に時間を要した事から未使用額が生じた。まだ実施できていない調査がある事から、その費用に充てるものとする。
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