研究課題/領域番号 |
16K21285
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研究機関 | 京都府立医科大学 |
研究代表者 |
藤井 ちひろ 京都府立医科大学, 医学部附属病院, 専攻医 (00516065)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | CD56陽性T細胞 / fingolimod / 細胞障害性分子 / IFN-γ |
研究実績の概要 |
本研究では、多発性硬化症(以下MS)の疾患修飾薬のうち、fingolimod治療下において、末梢血中で増加しているCD56+T細胞のフェノタイプや機能的特徴、発現亢進の機序を明らかにし、同細胞群頻度と再発及び治療効果との関連性について解析することを目的としている。 末梢血中CD56+T細胞頻度は、健常者2.5%(n=10)、IFN-β治療下MS患者2.2%(n=12)、未治療MS患者3.9%(n=8)に対して、fingolimod治療下MS患者(n=11)では10.8%と増加していた。また、fingolimod治療下MS患者の再発期においては、同細胞頻度は54.4%(n=4)とさらに著増した。Fingolimod治療下MSにおけるCD56+T細胞頻度の増加は、CD4+T細胞とCD8+T細胞セブセットの両者において認められ、またCCR7の発現の有無に関わらず、免疫記憶の状態に関わらず、種々のT細胞サブセットにおいて認められた。 CD56+T細胞の機能に関する解析においては、同細胞群はCD56-T細胞と比較して、Granzyme B, Perforin, Fas Ligandなどの細胞障害性分子の発現頻度、ならびにIFN-γ産生細胞頻度の高い細胞群であった。またCD56+T細胞にはCD56-T細胞と比較して、より高率にmyelin basic protein反応性IFN-γ産生細胞が含まれていた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまでの検討で、梢血中のCD56+T 細胞頻度の増加は、健常者やIFN-β治療下のMS患者では認められずfingolimod治療下に特徴的な事象であることを確認した。同細胞群の細胞細胞表面ならびに細胞内分子の解析、およびサイトカイン産生細胞頻度、各種抗原で刺激した際の反応性などについて評価し、機能的特徴と抗原反応性を明らかにした。以上より、研究はおおむね順調に進展していると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度は、PBMCを用いてin vitro のT 細胞にCD56 発現が亢進する刺激条件を検索する。また、fingolimod 治療下MS患者の病期と末梢血CD56 陽性T 細胞頻度の関連性を解析するために、より多くのfingolimod治療下患者において経時的に同細胞群頻度を計測する。
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次年度使用額が生じた理由 |
当該年度において、人件費および謝金を要する事案が生じなかったため、必要な物品を購入後も繰越金が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度への繰越金は、研究消耗品の購入に使用予定とする。
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