研究実績の概要 |
<免疫組織学的検討> 本年度は昨年までに施行した免疫組織学的検討に追加し、術後経過が5年を超えた、2012年度までの62例の肝細胞癌手術検体を用いて免疫組織学的検討を行った。1次抗体はこれまで同様abcam社のAnti-KDM1/LSD1 antibody-ChIP grade (rabbit polyclonal, Cat#ab17721) を使用した。染色強度と割合のscoringに関してもこれまで同様に決定し、当科で作成しているdatabaseと突合して検討し、統計ソフトとしてJMP ver.12を用いて多変量解析を行い、LSD1の発現量と関わる因子を同定した。当科で作成しているdatabaseは患者因子・背景肝因子・腫瘍因子ならびに手術時のdata・追加治療・予後調査を包含しており、多岐にわたる解析を施行しえた。LSD1の高発現群では、5年全生存率・無再発生存率両者において、低発現群と比較して著明に予後不良であった。さらに多変量解析において、LSD1高発現は5年全生存率・無再発生存率において独立した予後不良因子であった。今回肝細胞癌におけるLSD1の臨床的寄与を検討することができた。LSD1阻害剤を使用する際の、最も適切な使用条件(術前neo-adjuvant化学療法として、あるいは術後補助化学療法として、また再発high risk群への使用など)を検討することができると考えられる。
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