土壌炭素の分解・蓄積過程は、多段の酵素反応と有機-鉱物間の吸着・錯体形成反応を含む、反応動力学的に複雑な系であり、環境中における動態予測のためには、そのモデル構築が不可欠である。本研究では、鳥取県内の八東川・千代川水系において土壌気象モニタリング、リン酸イオンを用いた吸着ポテンシャルの推定を行い、流域における物質移動(窒素および有機物)に及ぼす土壌の影響をモデル化してその評価を行った。その結果、流域内の物質移動を規定する土壌有機物、粘土鉱物、および水分状況の寄与が明らかになり、より精緻なモデル構築の可能性が示唆された。
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