本研究の目的は、「機会の平等」と「結果の平等」という2種類の社会的平等を考慮に入れた複合的な公平性判断がどのような脳内メカニズムによって実装されているかを機能的磁気共鳴画像法(fMRI)を用いて明らかにすることであった。大学生40名から取得したfMRIデータを「表象類似度解析」と呼ばれる手法で解析したところ、島皮質前部および前頭前野腹内側部において、「機会の平等」の有無の文脈の違いに応じて脳内表象の強さが変化することが見出された。この結果は、これらの脳領域が「機会の平等」と「結果の平等」の両者をふまえた公平性判断に重要な役割を果たすことを示唆している。
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