研究課題/領域番号 |
16K21304
|
研究機関 | 宮崎県立看護大学 |
研究代表者 |
福浦 善友 宮崎県立看護大学, 看護学部, 助教 (00572942)
|
研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
キーワード | 看護師の対応 / 気づき / 主観的な患者像 / 患者の役割 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、デイケア長期利用の統合失調症患者の主体的社会参加を促す個別的看護介入を検討することである。研究に参加したデイケア看護師は3名(50代1名、30代2名)であった。 申請者がこれまでに集約してきた、個別の「社会参加したい」主体性の強化を図る個別的看護介入方法について看護師向けに研修会を実施した。この研修会では、研究計画に沿って2事例に対する看護実践場面を使ってカンファレンスを行った。具体的には、①介入方法の4つの軸に沿って対象像を描き、②対象像に見合った回復を促す必要条件を整えたうえで、③介入方法を指針として使いながら理解促進を図った。 カンファレンスで、看護師が利用者個別の「社会参加したい」主体性を見出す表現をしている文章を理解可能な単位として抽出し、看護師の理解と介入方法の課題について検討を行った。これらの検討を踏まえて、平成29年度の学会報告に向けてデータの分析を行っている段階である。 長期に利用している統合失調症利用者に対応する看護師は、利用者のもてる力を発見しているにも関わらず、看護師が先回りをして支援にあたろうとする特徴があった。また、看護師はこれまでに多くの利用者の情報をすでにもっているため、そのイメージで患者像を捉える傾向がみられた。そのため、主観的な判断で患者の特徴を決めてしまい、ケア困難患者となっていた。しかし、検討を重ねるにしたがって、利用者の役割に改めて気づくことができ、どのようにセルフケアを向上させたら良いかという対話の変化が見られた。デイケアには多くの利用者が参加しているため、通常行われているプログラム前後の時間をいかに活用し看護できるかが課題であると検討した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究フィールドとなる病院側の倫理審査委員会の承諾はすでに得られていたが、大学側の倫理審査委員会の承認を得るのに研究計画書の微調整を要した。また、デイケアだけではなく病院全体の人事や、新たな病院の取り組みなどが推し進められていたので人選を慎重に行った。以上の理由により、研究を開始するのが遅れてしまった。
|
今後の研究の推進方策 |
現在まで、第一段階である「事例を使っての研修会」は終了し、分析段階に入っている。分析した結果を今後学会等で報告し、次の第二段階である①前年度同様の研修会を実施しながら、②実際にデイケア長期利用の統合失調症患者に承諾を得て、個別的看護介入方法を看護師に実施しさせて、適用の成否を評価するという2つの柱を軸に遂行していく予定である。実践後、その適用の成否について申請者と看護師間でカンファレンスを行い、介入方法の適用における問題点について検討を重ね、介入方法を理解しやすく使いやすいものに高めていく。申請者は、実際に看護記録を参照しながら、利用者の反応の変化について看護師や他職種に確認を取りながら場面の再構成を図る。利用者たちが、社会に目を向ける文脈の解明を試みて、介入方法の適用における問題点と効果について抽出していく予定である。 研究計画を遂行していくにあたり課題となるのは、申請者自身の県外への異動に伴い、研究フィールドとなる精神科病院を訪れる時間確保が困難になったことである。そのため、病院側とは、デイケアスタッフの勤務状況ならびに申請者の状況を確認しながら、今後の研究計画を進めていく必要がある。一つの提案として、インターネットを使った遠隔会議を取り入れることを検討している。この件に関しては、病院側から承諾を得ているので、これまで通り研究を遂行できると考えている。
|