研究課題/領域番号 |
16K21313
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研究機関 | 東北公益文科大学 |
研究代表者 |
白旗 希実子 東北公益文科大学, 公私立大学の部局等, 講師 (10735658)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | イギリス / ソーシャルワーカー / 継続的能力・職能開発 / serious case review |
研究実績の概要 |
・児童保護領域における各機関・各職種の連携を基盤とした上で、その役割と責任を明記した「Working Together to Safeguard Children」(2013)のchapter4の内容(serious case reviewなど)を整理した。 ・子どもが虐待やネグレクトにより死亡した際に、「Local Safeguarding Children’s Boards」によって実施されるケースレビュー(SCR)を読み込み、テキスト分析のためのデータの整理をおこなった。SCRに対しては、その質が多様であること、実践者が皆SCRを良く知っているわけではないこと、SCRから得ることができる他領域からの学びを用いていないことがあることなどが指摘されていることがわかった。そのため、SCRの質を向上させる、また、実践におけるSCRの利用法を改善させる革新的な方法を開発し、施行することを目的としてLiPPが実施されている。 ・英国のソーシャルワーカーの継続的能力・職能開発をめぐる制度的変遷と現状を明らかにするとともに、HCPCの継続的能力・職能開発の基準について、その内容の検討をおこなった。その結果、規制機関の基準は、公衆や政府などの意見をふまえながら、「学習者主導型」で、登録更新と関連づけられるような基準として整備されていったことが明らかになった。また、規制機関の効率化を目指す政策と、ソーシャルワーカーの「質の向上」を目指す政策が、平行して検討されるなかで、複数の継続的能力・職能開発に関する基準やフレームワークが整えられていったことが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
「Working Together to Safeguard Children」の記述内容を読み込み、英国の児童虐待防に関連する機関、専門職の役割とその連携のありかたや、彼らに対して実践から学ぶことがもとめられていること、LSCBによるSCRの手順などを確認することができたこと、また、ソーシャルワーカーの継続的能力・職能開発の基準について資料論文としてまとめることができたことから、上記の区分とした。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、SCRの読み込みを続けるとともに、SCRに記載されている内容について専門職関連の視点から分析を進める。また、SCRから関係機関、職種間のコミュニケーションや意思決定にどのような課題があるのかを整理した英国の調査結果を資料としてまとめる。また、英国において、児童福祉実践領域に関係する機関・実践家にインタビュー調査を実施する。
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次年度使用額が生じた理由 |
インタビュー対象者の変更にともない、今年度予定していた国内でのインタビュー調査を、来年度に予定しているイギリスでの調査に統合した結果、インタビュー調査旅費および謝礼が発生しなかったため。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度予定されているイギリスでの訪問調査において、増えた訪問先への旅費、インタビュー対象者への謝礼として使用する予定である。
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