研究課題
インスリン様成長因子(IGF-1)は脳の成長,可塑性や生存に関与し,神経変性疾患の病態への関与が示唆されている.我々は様々な神経変性疾患患者156例を対象に血清インスリン様成長因子(IGF-1)値と臨床症候との関連を調査した.結果,血清IGF-1値はパーキンソン病 (73例) 112.1±5.1 ng/mL,進行性核上性麻痺 (15例) 102.9±8.3 ng/mL,多系統萎縮症 (22例) 103.1±37.6 ng/mL,アルツハイマー病 (18例) 102.2±9.4 ng/mL,筋萎縮性側索硬化症 (6例) 105.5±27.4 ng/mL,レビー小体型認知症 (14例)82.4±7.4 ng/mL, 前頭側頭型認知症 (6例) 90.0±17.0 ng/mL, 大脳皮質基底核変性症 (n=2) 118.0±14.0 ng/mLであり,各疾患の間には血清IGF-1値の有意差はみられなかった.パーキンソン病患者では血清IGF-1値は年齢および日常生活動作の障害(modified Rankin scale)と負の相関を示し,線条体におけるドパミントランスポータースキャンの集積および前頭葉機能(frontal assessment battery score)と正の相関を示した.またアルツハイマー病患者では血清IGF-1値は年齢,罹病期間,modified Rankin scaleと負の相関を示した.本研究によりパーキンソン病やアルツハイマー病などの神経変性疾患における血清IGF-1値の測定が疾患進行の評価に有用である可能性が示唆された.
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