研究課題/領域番号 |
16K21320
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研究機関 | 獨協医科大学 |
研究代表者 |
植松 梓 獨協医科大学, 医学部, 助教 (60613453)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 高齢者 / 歩行 / バランス能力 / トレーニング |
研究実績の概要 |
平成29年度は、平成28年度の結果から定めた4 cm幅の狭路歩行によるバランス能力評価においてトレーナビリティがみられるかを検証するために、24名の高齢者 (71~85歳) を対象としたバランストレーニング介入実験を実施した。 被験者をコントロール群9名 (男性6名、女性3名) とトレーニング群15名 (男性8名、女性7名) に割り当てた。2ヵ月間の介入期間前後において、4 cm幅の狭路歩行、開眼片足立ち時間、ファンクショナルリーチ、歩行速度、下肢筋力を計測し比較した。バランストレーニングは、5分間程度の準備運動、Wii Fit (Nintendo) を使用した2~3種類のバランスエクササイズ、片足立ちのまま両手で持ったトレー上のボールをコントロールするエクササイズ、5分間程度の整理体操から構成した。バランストレーニングは週2回の頻度で8週間行った。コントロール群は通常の日常生活を実施した。 狭路歩行の到達距離は、単純課題試行で両群とも17%向上した。二重課題試行では、トレーニング群は30%向上し、コントロール群では2%低下した。開眼片足時間は、コントロール群で6.5秒低下し、トレーニング群は20.8秒向上した。ファンクショナルリーチは、コントロール群で変化は見られず、トレーニング群では7.1 cm向上した。下肢筋力はコントロール群で変化しなかったが、トレーニング群では膝関節伸展筋力が26%、股関節伸展筋力が47%向上した。 本研究結果から、バランストレーニングによって高齢者のバランス能力が向上することが分かった。とりわけ、計算課題を付加した狭路歩行において高い効果がみられることが明らかになった。このことから、テレビゲームを利用したエクササイズや二重課題の片足立ちを行うことにより高齢者の運動-認知機能が向上する可能性が考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画通り、問題なく進捗している。
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今後の研究の推進方策 |
当初計画通り、平成30年度は幅広い世代の狭路歩行測定を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成29年度にデータ測定用機材(およそ30万円)を購入するため平成30年度交付金から50万円の前倒し請求を行ったが、熟考の末、平成29年度の購入を見送ったため、大きな繰越金が発生した。 平成30年度では、主として研究発表旅費、人件費・謝金として使用する予定である。また、必要に応じて測定機材を購入することも検討している。
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