Nature(自然/生まれ)とnurture(規範/育ち)をめぐる問いは、自然科学研究のますますの隆盛により、実質的にnatureサイドが勝利を収めていると言ってよい現状があり、教育界においても「脳の構造に基づく学習」や「神経教授学」といった学習理論や教授方法が影響力をもちつつある。本研究は、このような趨勢に対して、「人間の自然=本性」というかたちで脳神経やDNAといった動物的自然性を人間本性と同定する人間観の不十分さを指摘し、「規範性をもった自然的存在」である人間の理解のために「第二の自然の自然主義」というアイディアに着目することで哲学がなしえる貢献の一端を明らかにした。
|