若年者と高齢者を対象に呼気筋力トレーニング(EMST)の効果を検証する介入研究を行った。 ①若年者を対象とした検討:呼吸器に疾患の無い、20歳~30歳の男女、14名に対し介入研究を行った。介入方法として1日1回、10分間のEMSTを3週間行ってもらった。介入前後で評価数値がどのように変化したか検討し、呼吸機能は全体的に向上した。特に咳嗽能力に関係する一秒量(FEV1.0)や最大呼気流速(PEF)に向上がみられた。 ②高齢者を対象とした検討:要介護認定1、2を受けており、保健施設のデイサービスを利用している29名に対し介入研究を行った。EMSTは最大深吸気後に腹部に力を入れ、呼気筋トレーニング機器(Threshold EMT、RESPIRONICS社製)を使用しゆっくりとした呼気を行った。介入は週に2回、1回15分程、3ヵ月間行った。空気漏れかがないようにスパイロメータのマウスピースにフェイスマスクを接続し口と鼻を覆い、計測した。呼吸機能は全体的に向上した。特に肺活量(VC)、PEFにおいて介入前後で統計学的有意差がみられた。 考察:要介護高齢者では誤嚥性肺炎予防の観点から、咳嗽能力を低下させないために呼気筋力を強化することが重要である。しかし呼気筋力トレーニングによる呼気流速に関連する呼吸機能の向上に関しては一定の見解は無い。今回の研究では共に最大呼気流速の向上が認められた、これは咳嗽時や強制呼気時に腹腔内圧を高めることに作用する筋が強化された結果によるものと考える。
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