本研究計画では,平成28年度から平成30年度の期間に,将来の通信量増大に耐えうる通信を実現することを目的とした,カオスニューロダイナミクスを用いた経路制御手法の提案を目指している.従来法として用いられている最短経路手法では,経路が多く集中するハブノードにパケットの混雑が生じてしまい,これがネットワーク全体の混雑へと繋がってしまう.そこで,各ノードの次数情報を用いてノード間の距離を決定する距離行列を用いた,決定論的カオスを用いた経路制御手法を提案し,その評価を行った(平成28年度研究成果).また,通信経路のトポロジカルな解析を行い,決定論的カオスにより通信路が多様化されることで,得られたネットワークの媒介中心性が分散されることを明らかにした(平成29年度研究成果).本年度は,本助成金にて購入した高速計算機を用いて,1000ノード以上のノード数有するネットワークでの性能評価を行った.この評価の際は,種々の通信状況を考慮するため,各ノード数の送信能力の変化させるなどの実験環境を用いた.また,カオスニューロダイナミクスを用いた経路制御手法において,経路分散に関する機能を持つ,不応性効果(送信履歴情報)の統計的な解析を行い,その効果を明らかにした.以上の研究成果に関して内容を纏め,International Conference on Applications in Nonlinear Dynamicsなどの国際会議で研究発表を行った.さらに,電子情報通信学会の各大会や研究会,電気学会などで研究発表を行った.
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