研究課題
婦人科腫瘍は子宮腫瘍と卵巣腫瘍に大別される。卵巣腫瘍に関しては、相同組換修復(HR)遺伝子異常を有する割合が高く、PARP阻害薬が効果を発揮することが報告され、2018年4月に卵巣癌に対するPARP阻害薬が保険承認された。今後も臨床試験の結果によってその適応が広がっていくことが予測される。一方、子宮肉腫は稀少性・多様性を併せ持つ腫瘍であり, その発生病態は不明な点が多く,数少ない使用可能な薬剤も奏効率が低く予後不良な疾患である。そこで遺伝子パネル検査を行い、肉腫においての分子プロファイリングを検証し、治療ターゲットとなりうる遺伝情報検討することとした。遺伝子パネル検査を用いた分子プロファイリングは, がん精密医療・個別化医療の根元であり, 癌腫においては標的治療に対応した遺伝子変異の同定に非常に有効であるが, 肉腫における報告は希少である。遺伝子パネル検査とは、「次世代」と呼ばれるシークエンサーを用いて一度に約500種類の遺伝子の変異を網羅的に解析できる検査法であり、がん領域では,その患者の発がんに重要な役割を担う遺伝子や, 効果の期待できる分子標的薬剤の選択などに有用とされている。見つかった変異が臨床的に意義のあるものなのかを知識データベースで選別する。次世代シークエンサーにより解析した子宮肉腫症例9例を後方視的に行った. 【結果】9例中6例でがん原性となる変異を認めたが、治療に結びつく変異は認めなかった(婦人科上皮性悪性腫瘍ではがん原性となる変異は9割以上で検出され、治療に結び付く変異は6割程度存在する)。9症例中4症例において相同組換修復(HR)異常を認め、肉腫でも白金製剤やPARP阻害薬が有効性を示す可能性が示唆された。
すべて 2019 2018
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件)
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