胎内発育不全性低身長症の患者でミトコンドリア呼吸鎖複合体の酵素活性の低下がみられたため、この患者は胎生期、及び出生後の成長に必要なエネルギー産生が不足していることが予想された。FATP3は脂肪酸輸送体をコードする遺伝子であり、ミトコンドリアに局在することが報告されていたが、呼吸鎖酵素複合体とFATP3の間に相互関係があるのかどうかは解明されていない。今回の研究で、FATP3ノックアウトヒトiPS細胞が作製できたことから、この細胞を分化誘導した時のFATP3の影響を検討することが可能となった。胎生期におけるFATP3の機能を解析するためのツールとして有用であると考えている。
|