研究課題/領域番号 |
16K21339
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研究機関 | 青山学院大学 |
研究代表者 |
高橋 淳二 青山学院大学, 理工学部, 助教 (20456685)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 2D-3Dマッチング / クライアントサーバモデル / 位置同定インフラ / 線分ランドマーク / 屋内位置推定 / クラウドコンピューティング |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,低演算負荷で高精度な位置同定を行うためのクライアント-サーバ型の位置同定インフラストラクチャシステム:U-Mapを構築することである.初年度(H28)は,U-Map におけるランドマークとしてクライアントのセンシングデータとサーバの3Dワイヤフレームのそれぞれからkeyedge を抽出するアルゴリズムを開発し,また,それぞれのkeyedge を比較マッチングすることでセンシングデータの取得位置を同定する位置同定アルゴリズムを構築した. クライアントのセンサが2Dカメラの場合は,取得した2D画像にGioiらのLSD(Line Segment Detector)を適用し線分画像を得る.初年度はこの線分画像そのものをkeyedges とみなした.一方,サーバ側の3Dワイヤフレームからは,クライアントカメラの諸元を踏まえた複数の視点画像を生成する.例えば,対象エリアを縦10m,横5m,高さ1m とし,この範囲で10cm 間隔で画像を生成すると視点画像データベース(DB)の総数は50000枚となる.サーバ側においても視点画像そのものが線分画像でありこれをkeyedgesとみなした. マッチングによる位置同定ではリアルタイム性が重要であり,1回の演算に許容される時間はおよそ1秒である.この課題に対して,GPUコンピューティングによりマッチング処理を並列化することで演算処理の高速化を達成した.現状で,40,000枚のDB画像群の中から最もセンシングデータに近い視点画像を算出する演算にかかる時間は約0.7秒である.また,平均位置推定精度は6㎝であった. この他,センシング線分画像の消失点位置からDB画像群の探索位置を限定することでマッチング処理を高速化する手法,3Dワイヤフレームにない線分を検出し,条件を満たせば新たにマップに追加するというマップ更新アルゴリズムを開発した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
keyedge の開発においては,データ形式の異なるセンシングデータとマップデータの双方から,比較マッチングが可能な形式の keyedge を抽出するアルゴリズムを開発し,それらのマッチングによりセンシングデータの位置推定を行うアルゴリズムの開発に成功した.しかしながら,現状での keyedge は線分画像そのものとしており,データ量やマッチングアルゴリズムの高速化に向けて大きな足かせとなっている.この点において,keyedge 開発においては今年度の達成目標に到達していないと考える. 一方で,H29年度に着手予定であった未登録線分の発見によるマップ更新アルゴリズムについては,そのコアアルゴリズムの開発に成功している. 結論として,「keyedge 開発」の遅れと「マップ更新アルゴリズム開発」の当初の計画以上の進展との相殺により,H28年度の進捗を「(2)おおむね順調」とした.
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今後の研究の推進方策 |
初年度の研究進展により構築目標である,U-Map: 低演算負荷で高精度な位置同定を行うためのクライアント-サーバ型の位置同定インフラストラクチャシステム のベース部分の開発に成功している.次年度以降は,各モジュールの最適化,長期運用による実施実験ベースの有効性の証明を行う予定である. 具体的には,keyedge の最適化として線分記述子の開発,マップ更新アルゴリズムへの統計的手法の導入による安定性の向上,U-Map適用範囲の拡大,を計画している.
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