研究課題
若手研究(B)
本研究では、我々がこれまで行為主体感の発達評価のために用いてきた視線随伴課題を応用し、社会的文脈に応じた視線の合目的操作を8か月児が行えるかどうかについて、3つの実験を通じて検討した。具体的には、社会的な相互作用(攻撃行動)が観察されるアニメーションを見せ、自分の視線の操作が悪役キャラクターを懲らしめられるような文脈にすると、乳児は悪役を懲らしめるような目の動きを示した。しかし、視線の操作が悪役キャラクターをこらしめられないような文脈にすると、視線の操作が変化することが分かった。
発達心理学
本研究で得られた成果には大きく2つの意義がある。一つ目は視線随伴パラダイムにおける視線の操作が、与えられた文脈に応じて適応的に変化したことである。二つ目は、悪役に対して乳児自らが懲らしめるかのような行動を示したことである。特に二つ目については乳児の向社会性の発達における重大な発見となることが示唆される。