研究課題/領域番号 |
16K21342
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
甲斐 晶子 熊本大学, 大学院社会文化科学研究科, 非常勤講師 (80646365)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | リフレクション / eポートフォリオ / 自己主導学習 / 学習者オートノミー / 自己調整学習 / 日本語教育 / 教育工学 / 外国語(日本語) |
研究実績の概要 |
本研究は、留学生が継続的に外国語を学ぶために必要な自己調整学習(目標設定・遂行・省察)のスキルを向上させることを目指し、eポートフォリオを核に据えた長期的学習支援の在り方を明らかにすることを目的とする。先行研究調査、学習者および教員への聞き取り調査、対面指導ログの解析を通してリフレクション支援モデルを構築し、既存のポートフォリオシステムや学習マネジメント・システムに追加できる単独モジュールとして開発・評価を行うものである。 2019年度の主な成果は次の3点である。 1.2018年度に開発したコミュニケーションアプリLINE上で動作するリフレクション支援ツール「Reflection Bot」について、大きく二度の機能追加を実施した。これにより操作性および明瞭性が向上し、より柔軟な運用が可能となった。 2.2018年度の形成的評価のデータ分析を行い、海外および国内の学会で口頭発表した。学会発表では主に新規開発したリフレクション支援ツール「Reflection Bot」についての設計思想や実践について議論し、教育工学および日本語教育の専門家らから多角的な評価が受けられた。また、それらをまとめた論文は査読付き採録された。 3.改良版リフレクション支援ツール「Reflection Bot」を用いた授業内活動をデザインし、研究代表者が担当する科目で教育実践を行った。また、普及活動により本ツールを授業に採用した教員へのインタビュー調査を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2019年度の研究実施計画は、1)自己調整学習、自己主導型学習、リフレクション、eポートフォリオ等に関する情報収集と研究成果発表による意見交換、2)成果物を改良し、既存のeポートフォリオシステムや学習マネジメント・システムに追加できる単独モジュールとして実装すること、3)所属機関において留学生と教員を対象として大規模な運用実験を行うこと、4)対話型支援の有用性や使用感、自己調整学習方略や使用する学習ストラテジーの変容について質問紙による調査や聞き取り調査を行うことであった。これらをすべて実施することができた。
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今後の研究の推進方策 |
補助事業期間延長申請書に記載した変更後の研究実施計画に従って研究を遂行する計画である。 開発したモジュールを用いた教育実践を継続して行い、2018年度に得られたデータと合わせ、分析し研究成果としてまとめる。既存のeポートフォリオシステムや学習マネジメント・システムへの追加方法については、現時点では技術的知識を持たない教員には操作が難易なため、より簡易な方法を検討する。 最終年度となる2020年度は、これらを進めることで、本研究の最終到達目標であった「実用化された状態の支援ツールを開発し一般公開する」を達成する。単なるツールの配布で終わるのではなく、背景となる理論や思想、期待される効果や注意事項についての解説を添え、自律的な日本語学習のためのリフレクション活動デザインの提案という形で公開することを目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成29年度に育児休暇取得に伴う研究中断期間があり、その際の残額を繰り越している。補助事業延長期間に使用予定である。また、コロナウィルス感染症に関連した学会の実施形態変更により旅費の出費が当初の予定より減った。 【翌年度分として請求した助成金と合わせた使用計画】 補助事業期間延長承認申請書に記載した変更後の計画通り執行を行う。
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