本研究は、留学生が継続的に外国語を学ぶために必要な自己調整学習(目標設定・遂行・省察)のスキルを向上させることを目指し、eポートフォリオを核に据えた長期的学習支援の在り方を明らかにすることを目的とする。先行研究調査、学習者および教員への聞き取り調査、対面指導ログの解析を通してリフレクション支援モデルを構築し、既存のポートフォリオシステムや学習マネジメント・システムに追加できる単独モジュールとして開発・評価を行うものである。 最終年度の主な成果は次の3点である。 1.2020年度に機能追加をしたリフレクション支援ツール「Reflection Bot」について、さらに管理者用の画面を開発した。技術的知識を持たない教員でも容易に操作できるように改善された。また、他LMS(Moodle)と連携した。 2.開発した「Reflection Bot」の背景となる理論や思想、期待される効果や注意事項についての解説を添え、自律的な日本語学習のためのリフレクション活動デザインの提案という形で国内学会や査読付き論文誌に投稿しアクセプトされた。 3.本支援ツールを国内学会等で広報する形で一般公開し、複数の日本語教員から利用希望を受け教育利用目的で提供した。それらの教育実践から本ツールを使用することで目標設定や省察がより具体的になる可能性が示唆された。 本研究期間を通し、自己調整学習やリフレクションを促す支援についての先行研究調査からリフレクションを深化する支援モデルが導出でき、そのために有用な支援ツールの要件定義および実装が行え、新規性や有効性が示された。
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