| 研究課題/領域番号 |
16K21343
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| 研究機関 | 学習院大学 |
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研究代表者 |
石田 健人 学習院大学, 理学部, 助教 (90735755)
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| 研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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| キーワード | アシルシラン / カルベン / 光反応 / アルデヒド / ルイス酸 / α－ヒドロキシケトン / エネルギー移動 / 光増感反応 |
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| 研究実績の概要 |
本研究では、特定のカルボニル化合物に対して光照射を行うとカルベンやエノールといった求核性を持つ中間体を生成することに着目し、この新たな方法論の開拓とこれを利用した従来にない革新的な合成反応の開発を目指して研究を行った。
まず、アシルシランの光異性化によって生じるシロキシカルベンの合成化学的利用の拡大を目指して、各種求電子剤との反応を試みたところ、ルイス酸触媒の存在下でアルデヒドとの分子間反応が効率よく進行し、有用なα－シロキシケトンが収率よく得られることを見出した。本反応は基質一般性よく反応が進行し、様々な置換基を有するα－シロキシケトンを収率よく合成することが可能であった。本反応は光とルイス酸の協同作用によるユニークなベンゾイン縮合型の反応であり、合成化学的に有用なα－シロキシケトンの新たな合成法を提供するものであると考えている。
また、アルカノイルシランからのシロキシカルベン生成は、従来の直接光励起法では紫外光の照射が必要であり、アルカノイルシランからのカルベンを合成に利用するには基質適用範囲や官能基許容性に問題があった。そこで、可視光を利用する光増感反応について検討を行ったところ、イリジウム錯体を添加すると、エネルギー移動増感反応が進行し、可視光の照射でアルカノイルシランからカルベンが効率よく生成することを見出した。この可視光駆動型増感反応は、上述したアルデヒドとの反応をはじめとする、様々な反応に応用可能であると期待され、現在その検討を行っている。
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| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では、カルボニル化合物の光励起による求核的活性化を利用した新たな合成反応の開発を目的としている。研究実績の概要にも書いた通り、アシルシランのシロキシカルベンへの光異性化を利用して、ルイス酸触媒を用いたアルデヒドとのカップリング反応の開発に成功している。また、光増感剤を利用して、アルカノイルシランからの可視光でのカルベン生成にも成功しており、研究はおおむね順調に進展していると言える。
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| 今後の研究の推進方策 |
本年度開発したアシルシランとアルデヒドのカップリング反応に関しては、キラルなルイス酸触媒を用いた不斉合成の開発に取り組む予定である。また、ルイス酸による活性化をアルデヒドだけでなく、他の有機分子にも適用することで、シロキシカルベンを利用した新たな反応を開発することができると考えており、これについても鋭意検討を行っていく予定である。また、増感剤を利用したアルカノイルシランからのシロキシカルベン生成については、各種求電子剤との反応について検討し、本手法の合成反応への利用価値を明らかとしていく計画である。
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| 次年度使用額が生じた理由 |
カルボニル化合物の光励起による求核的活性化を利用した新たな合成反応の開発、という研究目的に対して一定の研究成果は得られているものの、その活性化手法に関しては、新たな方法論の開拓も含めて十分な検討に至っていないのが現状である。このため、本課題の研究費として最も大きな金額を占める予定の各種薬品等消耗品類の購入に当初計画とのズレが生じた。
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| 次年度使用額の使用計画 |
前述の通り、次年度以降は、キラルなルイス酸を利用した不斉反応の開発や、多様な基質を用いて新たな合成反応の開発に取り組む計画である。そのため、物品費（主に試薬などの消耗品）の購入額が増えることが予想され、次年度使用額はこれに充てる計画である。
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