有機合成反応の開発はものづくりの基盤を形成する重要な研究分野である。本研究では、アシルシランから光化学的に生成するシロキシカルベンを利用して、従来にない新しい分子変換手法を開発した。例えば、本研究により、アルデヒドとアシルシランという比較的単純な分子から、合成化学的に有用なα-シロキシケトンが良好な収率で合成できるようになった。また、三重項エネルギー移動を利用したアルカノイルシランからのカルベン生成反応を開発した。これによって、従来の直接励起法ではNorrish型開裂反応が進行してしまうようなアルカノイルシランからも、そのような副反応を起こすことなく、効率的にカルベンを生成できるようになった。
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