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2016 年度 実施状況報告書

脂肪細胞における新たな免疫活性化作用の解明

研究課題

研究課題/領域番号 16K21347
研究機関北里大学

研究代表者

佐藤 雅  北里大学, 医学部, 助教 (40611843)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2019-03-31
キーワードNKT細胞 / 脂肪細胞 / 脂肪組織炎症 / インスリン抵抗性 / 耐糖能異常
研究実績の概要

脂肪細胞とNKT細胞との相互作用が肥満の進展にどれほど重要であるかを調べるために、脂肪細胞において特異的にCD1dを欠損させたマウス(脂肪細胞とNKT細胞が相互作用できないマウス)を用いた。脂肪細胞特異的CD1d欠損マウス(KOマウス)に高脂肪食を給餌すると、コントロールマウスに比べて体重増加が少なく、内臓脂肪量も減少することがわかった。さらに、耐糖能異常もコントロールマウスに比べて軽減していた。脂肪組織の炎症性サイトカインの発現増加もKOマウスでは減少し、一方、抗炎症作用をもつアディポネクチンの発現はKOマウスで増加していた。このことから、脂肪細胞とNKT細胞の相互作用によって、脂肪組織炎症が誘導され、肥満・インスリン抵抗性が促進されることが明らかとなった。
以上の知見は、in vitro実験で検証された1)NKT細胞はCD1dを介して脂肪細胞によって活性化されること、2)NKT細胞から産生されたIFN-gは脂肪細胞に作用し、TNF-a等の炎症性サイトカインの発現増加、およびアディポネクチンの発現低下を誘導することを、in vivo実験によって実証されたものである。
本研究によって、脂肪細胞とNKT細胞と関係性が初めて明らかとなった。NKT細胞がいち早く活性化することで、脂肪組織炎症が惹起され、インスリン抵抗性を来たすと考えられる。今後は、脂肪細胞がどのような脂質抗原を発現しているか、どの抗原がNKT細胞を活性化し得るのかを検証していく。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

in vivoにおいて脂肪細胞とNKT細胞の相互作用の役割を明らかにできたことから、本研究はおおむね順調に進展している。

今後の研究の推進方策

脂肪細胞が発現するどの脂質抗原がNKT細胞を活性化し得るかを調べるために、3T3-L1脂肪細胞に各種脂質合成阻害剤を作用させ、NKT細胞を共培養したときのNKT細胞の活性化を検証する。また、実際に脂肪細胞から脂質分画を抽出し、それがNKT細胞を活性化し得るかを検討する。そして脂質の網羅的解析によってNKT細胞リガンドの候補を探索する。

次年度使用額が生じた理由

当初の実験計画と多少のずれが生じたため。

次年度使用額の使用計画

次年度も引き続き、脂肪細胞が発現するNKT細胞リガンドの探索および、脂肪細胞-NKT細胞相互作用メカニズムの詳細な解析を実施する。

  • 研究成果

    (9件)

すべて 2016 その他

すべて 雑誌論文 (6件) (うち国際共著 2件、 査読あり 6件、 オープンアクセス 2件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (2件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Invariant natural killer T cells play dual roles in the development of experimental autoimmune uveoretinitis.2016

    • 著者名/発表者名
      Satoh M, Namba K-i, Kitaichi N, Endo N, Kitamei H, Iwata D, Ohno, Ishida S, Onoe K, Watarai H, Taniguchi M, Ishibashi T, Stein-Streilein J, Sonoda K-H, Van Kaer L, Iwabuchi K.
    • 雑誌名

      Exp Eye Res

      巻: 153 ページ: 79-89

    • DOI

      10.1016/j.exer.2016.10.003.

    • 査読あり / 国際共著
  • [雑誌論文] Communication between natural killer T cells and adipocytes.2016

    • 著者名/発表者名
      Satoh M, Iwabuchi K.
    • 雑誌名

      Adipocyte

      巻: 5 ページ: 389-393

    • DOI

      10.1080/21623945.2016.1241913.

    • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] CRISPR/Cas9を用いたCD1d欠損胸腺腫細胞株の作製2016

    • 著者名/発表者名
      佐伯美帆、佐藤 雅、飯塚みさを、岩渕和也
    • 雑誌名

      北里医学

      巻: 46 ページ: 49-51

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Adipocyte-specific CD1d-deficiency mitigates diet-induced obesity and insulin resistance in mice.2016

    • 著者名/発表者名
      Satoh M, Hoshino M, Fujita K, Iizuka M, Fujii S, Clingan CS, Van Kaer L, Iwabuchi K.
    • 雑誌名

      Sci Rep

      巻: 6 ページ: -

    • DOI

      10.1038/srep28473.

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著 / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] Inhibitory function of NKT cells during early induction phase of nickel allergy.2016

    • 著者名/発表者名
      Okuno H, Satoh M, Takeuchi E, Eshima K, Terashima M, Komotori J, Habu S, Tamauchi H, Iwabuchi K.
    • 雑誌名

      Immunobiol

      巻: 221 ページ: 833-838

    • DOI

      10.1016/j.imbio.2016.01.012.

    • 査読あり
  • [雑誌論文] NKT細胞・NK細胞の脂肪細胞での役割2016

    • 著者名/発表者名
      佐藤 雅,岩渕和也
    • 雑誌名

      医学のあゆみ

      巻: 257 ページ: 681-685

    • 査読あり
  • [学会発表] NKT cell - adipocyte interaction is necessary to induce adipose tissue inflammation2016

    • 著者名/発表者名
      Masashi Satoh, Koki Fujita, Misao Iizuka, Kazuya Iwabuchi
    • 学会等名
      第45回日本免疫学会学術集会
    • 発表場所
      沖縄コンベンションセンター、ラグナガーデンホテル(沖縄県宜野湾市)
    • 年月日
      2016-12-05 – 2016-12-05
  • [学会発表] NKT細胞-脂肪細胞の相互作用による脂肪組織炎症誘導メカニズム2016

    • 著者名/発表者名
      佐藤 雅、岩渕 和也
    • 学会等名
      第27回日本生体防御学会学術総会
    • 発表場所
      九州大学 病院キャンパス内 コラボステーションI 視聴覚ホール(福岡県福岡市)
    • 年月日
      2016-07-09 – 2016-07-09
  • [備考] 北里大学医学部免疫学ホームページ

    • URL

      http://www.med.kitasato-u.ac.jp/immunology/index.html

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公開日: 2018-01-16  

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