研究課題/領域番号 |
16K21351
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研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
水上 慎也 北里大学, 医療衛生学部, 助教 (80759340)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | MRI / 脳血流 / ASL / ファントム |
研究実績の概要 |
本研究では模擬人体ファントムを用いて非造影MRI灌流画像法(3D ASL 法)による脳血流量(CBF)の定量性評価を行い、3D ASL法の画像診断精度を高めることを目的としている。初年度は模擬人体ファントムを作成し、3D ASL法のCBF計測再現性を確認することを目指した。 まず、本研究で必要となる模擬人体ファントムの作成を進めた。非造影MRI灌流画像法に対応したファントムは国内では1製品のみであるため、この既製品ファントムを本研究に対応するように改変することとした。ファントム構造は動脈を通って流入した模擬血液をビーズを用いて作成した模擬脳内に滲出させ、静脈から回収するものとなる。既製品は動脈と静脈の構造が人体を模擬しておらず、各12本ずつの直線パイプであるため、動脈と静脈を人体に近い構造で作成したファントムを作成することとした。 当初の実験計画では頭頸部血管を3Dプリンターで作成することとしたが、細部血管の再現性や模擬血液流出構造の作成において再現が困難となった。そこで、人体と同一形状の血管を作成することを断念し、脳血管の主幹である前大脳動脈、中大脳動脈、後大脳動脈を単純な形状にモデル化し、細い分岐については流出孔からの流れで再現することとした。現在は血管作成が終了し、流出孔作成に移っている。血管モデル変更により大幅に時間がかかり、現状では3D ASL法の検討に進めていない。ファントム完成後、速やかに撮像、解析を進めていく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
計画では3Dプリンターを用いて頭頸部血管データから人体に近い形状の血管を作成する予定であった。しかし、細部血管の再現性や模擬血液流出構造の作成において再現が困難となったため、血管のデザインを再考することなった。脳血管の主幹である前大脳動脈、中大脳動脈、後大脳動脈を単純な形状にモデル化し、細い分岐については流出孔からの流れで再現することとした。3Dプリンターを用いた作成の検討、血管モデル変更により大幅に時間がかかり、現状では3D ASL法の検討に進めていない。現在は作成した血管モデルからファントムを作成している途中であり、作成工程を進めるごとにファントム作成業者と確認を行いながら進めている。
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今後の研究の推進方策 |
現在作成中である脳血流ファントムは、5月中に完成する予定である。ファントム完成後、非造影MR灌流検査法(3D ASL法)の再現性試験を開始する。再現性試験は同一装置での同日連続撮像および別日撮像を行い、脳血流量(CBF)における変動係数を求める。その際、3D ASL法の撮像条件をメーカー推奨条件と短時間撮像条件で再現性を確認する。 さらに、複数のMRI装置で3D ASL法で得られるCBFが同一となるか定量性試験を行う。使用するMRI装置は1.5T装置2台、3.0T装置2台とし、同磁場間および磁場強度別の比較を行う。脈動ポンプの循環条件を変更した際の定量性も比較する。 現在ファントムが完成していないため、運用を開始した際に臨床に近いCBFが得られるかの確証がない。臨床に近いCBFが得られなかった場合、ファントムを修正することも可能だが、模擬血液の循環が安定していれば、3D ASL法の再現性および定量性は検証できると考えられるため、長い時間を要する対策を講じずに評価を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
本研究で初年度に作成する予定であった模擬人体ファントムの作成において、血管作成の内容変更が生じたため、ファントムが完成に至っておらず、支出が発生しなかった。また、ファントムが完成していないため成果発表にかかる旅費についても未使用となった。
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次年度使用額の使用計画 |
模擬人体ファントムは変更内容が固まったため、完成次第、ファントム購入のために使用する。さらに、運用上ファントムのさらなる改変が必要となる場合にも使用する予定である。また、ファントムと合わせて脈動ポンプを購入する。
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