研究課題
本研究計画では,メダカ消化管の長さの変化が遺伝的多型と表現型可塑性の2つによって生じた可能性を検証するため,長さを規定する原因アレルが存在するゲノム領域と,その可塑性を制御するエピジェネティックな変化を示すゲノム領域を明らかにする.本年度は,原因候補アレルを同定するために,F2個体を用いたQTL解析から,野生地域集団(40集団・計341個体)を用いたゲノムワイド関連解析(GWAS)に変更した.さらにメチル化DNA領域を特定するために,MBD-seqにより,季節変動を示す領域の同定を行った.【遺伝的多型の同定】研究協力者と共に,新たなRAD-seqプロトコルを作成した.Amoresらが発表したRAD-seqのプロトコル(Amores et al., 2011)をベースに,コストを抑えたRAD-seqの実験系を新たに考案し立ち上げた.これまでに本方法を用いてGWASを実施したところ,第3番染色体に強い関連がみられるマーカを検出した.【DNAメチル化変動領域の同定】計画当初では民間企業の受託サービスによりMBD-seqを実施することを第一の選択肢としたが,研究代表者がライブラリ作成,DNAメチル化領域の濃縮,次世代シークエンシングまで実施した.そのため,当初の計画より規模を拡大し.パイロット実験用の4個体と本実験用の16個体,計20個体のDNAを識別できるインデックスを付加したDNAライブラリを作製し,マルチプレックスでMBD-seqを実施した.パイロット実験ではMiseq 1ランに供し,本実験ではHiseq2500に3 lane供した.Miseqの結果より,第3番染色体に季節間でメチル化の程度が変化する領域があることがわかった.
1: 当初の計画以上に進展している
当初計画よりも解析の規模,及び精度を上げて本研究を進められることとなったため.
計画通り,次世代シークエンサーを使って,候補領域を絞っていく.候補遺伝子が明らかになった場合,その機能解析及び進化解析を進める.
民間の解析受託サービスを利用せず,研究代表者自身で実験計画の一部を遂行したため.
本研究のデータ精度を上げるために,次世代シークエンサー解析に供する.
すべて 2017 2016
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (5件) (うち招待講演 1件) 図書 (1件)
PloS one
巻: 12(1) ページ: e0170006
doi: 10.1371/journal.pone.0170006
Journal of Physiological Anthropology
巻: 35(1) ページ: 21
doi: 10.1186/240101-016-0111-9
Scientific reports
巻: 6 ページ: 28691
doi: 10.1038/srep28691
地域自然史と保全
巻: 38(1) ページ: 41, 50