研究課題
本研究計画では,メダカ消化管の長さの変化が遺伝的多型と表現型可塑性の2つによって生じた可能性を検証するため,長さを規定する原因アレルが存在するゲノム領域と,その可塑性を制御するエピジェネティクな変化を示すゲノム領域を明らかにする.本年度は,野生地域集団(40集団・計341個体)を用いたゲノムワイド関連解析(GWAS)で検出された原因候補アレルと,ゲノムワイドメチル化DNA解析により季節変動を示すメチル化DNA領域が,メダカの進化史でどのように進化して来たかを推定した.さらに,季節変動を示すメチル化DNA領域を欠失させたトランスジェニックメダカをCRISPR/Cas9法により作成し解析した.【消化管の長さに関与する遺伝的多型とDNAメチル化変動領域の進化的関わり】RAD-seqにより得られた約60,000 SNPsを用いたGWASを実施し,それによりみつかった関連遺伝子がメダカでどのように進化してきたかを可視化するため,系統樹上へのマッピングを行なった.それとともに,季節に応じてDNAメチル化の程度が異なる領域で分子系統樹を作成し,その進化過程を推定した.その結果,季節変動するDNAメチル化領域の機能的消失が,GWASによりみつかった変異の固定に重要であることが示唆された.【ゲノム編集法による遺伝子領域改変メダカの作出】DNAメチル化の程度異なる領域を含む約300bpを欠損させたメダカを作出するために,ガイドRNAとCas9タンパクをメダカ受精卵にインジェクションした.3世代掛け合わせを行い,得られたトランスジェニックメダカを解析した.その領域に生物学的な機能があることが示された.
朝日新聞(岡山版)に掲載,「日本のメダカの故郷はどこだ ゲノム解析で2カ所を解明」,2018年12月12日
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G3; Genes|Genomes|Genetics
巻: 9 ページ: 217~228
10.1534/g3.118.200779
https://www.okayama-u.ac.jp/tp/release/release_id582.html
https://www.asahi.com/articles/ASLD84HS3LD8PPZB009.html