研究課題
若手研究(B)
液体の流動性と結晶の異方性を併せ持つネマチック液晶に光学活性な分子(キラルドーパント)を添加すると、らせん周期構造を有するキラルネマチック液晶が発現することが知られている。我々は、このキラルドーパントがネマチック液晶へのらせん誘起力を計算によって予測する方法の提案に取り組んだ。そして、コンピュータ・シミュレーションの一つである分子動力学計算を用いて、剛直なキラル骨格を持つ分子のらせん誘起力を算出可能な理論的手法を提案した。
ソフトマター物理学
身近にある様々なデバイスへの応用可能なナノマテリアルの一つであるキラルネマチック液晶について、その物性を予測する理論的手法の確立は新規材料設計の指針を与える有用なツールとなり、最終的には新奇デバイスの創製へ繋がっていくと期待できる。また本研究によって、キラルネマチック液晶発現の起源、つまり微量に添加した分子のミクロな性質がマクロな三次元構造へと発展していくメカニズムを解明する上でも重要な知見が得られたことは、基礎・応用の両面においてその意義は大きいと考えられる。