研究課題
本研究では、まずヒトにおいて肝臓切除の際に残存する肝臓(残肝)の再生を促進させ、肝切除術後の肝機能不全を予防する新しい外科的な手術手技であるAssociating liver partition and portal vein ligation for staged hepatectomy (ALPPS)をブタの肝臓においてもヒトと同様に実施することが可能かどうか検討したが、臨床解剖学的に差異があることに注意すれば実施は可能であることを示した。また、本技術に加え、細胞成分を洗い流し、細胞成分以外のタンパク質(コラーゲン type Ⅰ、コラーゲン type Ⅳ、ラミニン、ファイブロネクチン等)を主体とする臓器の骨格(細胞外マトリックス(Extra cellular matrix; ECM))のみを残す「脱細胞化」という手技を組み合わせ、生体内での「脱細胞化」が可能であるか検討を行った。その結果、ALPPSによって得られた手術手技と組み合わせることで生体内において「脱細胞化」を肝臓の一部分(ALPPSによって血流遮断を行った部位)に実施することが実際に可能であることを示した。通常脱細胞化には数十時間の時間がかかるが、検討を行った結果、数時間で実施可能なプロトコールが完成し、これにより生体内の自己肝臓が脱細胞化されることで、臓器特異的な足場環境である脱細胞化臓器を自己臓器から作成し、かつ再生力の高い足場環境を体内に作成することが可能となる。本手術手技の確立により、今回の実験研究のみならず、ALPPSを用いた肝臓再生の研究や、より複雑な手術系モデルの確立など、本研究のみではない知見や経験を得ることができると考える。
すべて 2018
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (2件) (うち招待講演 1件)
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