研究課題/領域番号 |
16K21372
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研究機関 | 昭和大学 |
研究代表者 |
渡邊 潤 昭和大学, 遺伝子組換え実験室, 助教 (50649069)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 頭部外傷 / 間葉系幹細胞 / 記憶障害 / 神経ペプチド |
研究実績の概要 |
本研究により骨髄由来間葉系幹細胞(MSCs)と、その分泌タンパク質TSG-6が頭部外傷モデルマウスの頭部外傷領域を減少させることが明らかとなった。さらに行動テストにより記憶障害と鬱様行動が改善させることを見出した。このとき、好中球の組織浸潤と血液脳関門(BBB)の崩壊が抑制されていた。このことから、MSCsおよびTSG-6は好中球浸潤による炎症を減少させることによって血液脳関門の破綻を抑制し、二次的な脳損傷を改善していることが示唆された。また、慢性期頭部外傷に対するMSCによる治療改善効果を解析したところ、新生ニューロンの増加が観察された。今後はこのデータの再現性確認と、記憶障害への改善効果の検討、メカニズムの解析を行っていく予定である。 さらに神経ペプチドPACAPの関与を調べるため、PACAP特異的受容体である、PAC1RのKOマウス作成をゲノム編集技術を用いて試みた。するとこのマウスは成体まで成育しないことが明らかとなった。そこで現在コンディショナルノックアウトの作成を試みている。成功すれば、 MSCの治療改善効果にPACAPが重要な役割をになっていることが証明できると考えられる。 MSC投与によりアストロサイトが活性化していることが明らかとなった。そこで培養アストロサイトにスクラッチ障害モデルを作成し、MSCと共培養させたところ障害部位の閉塞が促進されることが明らかとなった。この結果によりMSCによる血液脳関門の破綻の抑制にアストロサイト活性化が関与していることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
2018年7月に遺伝子組換え実験室の准教授が異動となり、実験室の管理運営を1人で任されることとなったため業務の引継ぎで多忙となってしまい、研究を行う時間がなかった。
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今後の研究の推進方策 |
業務の引継ぎ作業もほぼ終了したため、2019年度は研究を行う時間がとれる予定である。頭部外傷モデルマウスの慢性期にMSCを投与しその治療改善効果を解析する。また、その作用に関連する遺伝子をゲノム編集によってノックアウトしたマウスを作成しより詳細な解析を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
2018年7月に遺伝子組換え実験室の准教授が異動となり、実験室の管理運営を1人で任されることとなったため業務の引継ぎで多忙となってしまい、研究が計画通り進められなかったため。引継ぎ作業はおおむね終了したので、2019年度はゲノム編集によるノックアウトマウスの作成、慢性期投与実験と解析を進めていく予定である。
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