研究課題/領域番号 |
16K21377
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研究機関 | 大正大学 |
研究代表者 |
齋藤 知明 大正大学, 心理社会学部, 専任講師 (80646224)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 東日本大震災 / 宗教者 / 政教関係 / コミュニティ / 自治会 / 社会福祉協議会 / 超宗派 / 超宗教 |
研究実績の概要 |
2016年度は、岩手県釜石市を中心に、東日本大震災で被災した地域において宗教者・宗教団体がどのように支援活動を展開しているのか、どのように行政と協力関係を築いているのか等の調査を展開した。また、宮城県南三陸町の仮設住宅・公営住宅におけるコミュニティ再(々)構築を支援する教育プログラム(東北再生「私大ネット36」)を実施した。詳細は下記のとおりである。 ①釜石市におけるキリスト教会の支援活動の聞き取り調査および仮設住宅の解体・再構築現状把握の調査(5月)、②釜石市における社会福祉協議会のサロン活動に関する参与観察(8月)、③南三陸町における仮設住宅・災害公営住宅のコミュニティ形成に関する教育プログラムの実施(8月)、④釜石市における災害公営住宅の総会設立準備委員会に関する参与観察(10月)、⑤釜石市における災害公営住宅の設立総会および部屋割り抽選会に関する調査(11月)、⑥釜石市におけるキリスト教会の仮設住宅支援活動に関する参与観察(1月)、⑦南三陸町における仮設住宅・災害公営住宅のコミュニティ形成に関する教育プログラムの実施(2月)、⑧釜石市社会福祉協議会の活動報告会への参加(3月)、⑨南三陸町・釜石市の東日本大震災追悼関連行事への参与観察(3月)。 上記調査により、釜石市における宗教者・宗教団体と行政の関係が震災後の支援活動を経て一定の変化があったこと、そして、南三陸町におけるコミュニティ形成においての現状および特異性が明らかとなった。 そのような調査成果をもとに下記の報告を実施した。 (1)日本宗教学会第75回学術大会パネル発表(9月)、(2)東北再生「私大ネット36」第4回シンポジウム(12月)、(3)教育と宗教研究会・定期研究会(2月)、(4)東日本大震災後の新たな生き方とコミュニティ、そして宗教」公開シンポジウム・コメンテータ(3月)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初、報告書は研究期間最終年度に執筆する予定であったが、「研究実績の概要」に記載している通り、南三陸町における教育プログラムの計画・実施・運営が非常に充実していたこともあり、中間報告的報告書を1冊刊行することができた。一方で、釜石市における調査が予備調査および文献調査にとどまっているため、今後は行政や社会福祉協議会との協力関係を中心に、宗教者・宗教団体の支援活動に関する調査を重点的に進めていきたい。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度を迎えることから、当初の計画書に記載されているとおり、釜石市の調査を中心に進める。特に、①多くの宗教関係団体が活動する社会福祉協議会主催サロンミーティングの実態と展開、②キーパーソンとなる宗教者の活動、③支援を受けている住民、の3者の現状を詳細に調査しつつ、それが震災後の日本においてどのような特異な状況にあるのか、広く宗教史的な位置から俯瞰する。 そしてこれらの研究成果を整理し、関連学会での発表および報告書としての刊行を実施し、斯界に広く問うことを予定している。
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