研究課題
本研究課題は哺乳類のゲノムに内在性したウイルスに由来する配列(EVE)が宿主で獲得した様々な新規機能とそのゲノム進化を明らかにすること目標としている。本研究課題の中心となるEVEに由来する蛋白質をコードする配列を網羅的に収集し、アノテーションを行ったデータベースgEVE(http://geve.med.u-tokai.ac.jp)がDatabase誌に2016年5月に受理され、公開された。本データベースを活用し、ウシの胎盤で発現しているレトロウイルスの構造蛋白質(Gag)様の新規遺伝子を発見し、共同研究により機能解析を進め、Biochemical Journal誌に2017年10月に報告した。gEVEデータベースで同定した蛋白質をコードしたEVEのみならず、更に解析を発展させ、ヒト、マウス、ウシなどのゲノム配列中のEVE由来する塩基配列の非コード領域を同定した。共同研究により、幾つかの細胞・組織などの大規模発現データとEVEの非コード領域の相関について解析し、遺伝子の転写にプロモーターとして関与しているEVE配列の候補の同定を行った。加えて、大規模転写配列(RNA-seq)データを中心に次世代シーケンサー(NGS)から算出された大量塩基配列データの解析を進め、EVE配列に由来する機能を獲得した候補配列の探索を行った。特にヒト、マカク、マーモセットなどの霊長類や、マウスやラットなどのげっ歯類の初期胚、胎盤、筋肉、破骨細胞の発生・再生時に発現しているEVE由来の候補配列を同定し、現在共同研究により機能解析を行っている。
すべて 2017
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 2件、 招待講演 1件)
Biochemical Journal
巻: 474(20) ページ: 3499-3512
10.1042/BCJ20170531