研究課題
様々な不定愁訴を整理,定量化することを主題とした本研究において,各臨床症状に対応するバイオマーカーの特定と,カットオフ値の設定を目標に研究を行った.睡眠においては臨床像が多様であり,起立性調節障害をひとくくりのカテゴリーとして述べるには困難であったが,睡眠相後退型に見える患児らの唾液中メラトニン濃度のピークが極めて低くリズムが消失している傾向にあり,入院による睡眠への介入によりメラトニン分泌リズムが改善することを見出し学会報告した.起立後の血中カテコラミン反応については,現在の起立性調節障害サブタイプの枠を超えた多様さを認め,学会報告を行ったが今後さらなる検討が必要と思われた.起立性調節障害により不登校状態にある患児らの,再登校にむけた具体的な課題をアンケート調査により明らかとし,具体的な介入手法の考察とともに国内学術誌に投稿した.起立により誘発される頭痛に関して,NIROを用いることで臨床症状とOxyHbの低下量に相関を見出し学会報告した.現在国際学術誌に論文を投稿中である.またその過程で,薬剤によるHyperadrenergic POTSの存在を発見し,遺伝子異常・アジア系人種におけるリスクについて国際学術誌に投稿した.研究目的の最高到達点としてのスコア完成には至らなかったが,その礎となる臨床症状と有効なバイオマーカー,およびカットオフ値をいくつか見出し報告できたことは今後の研究に寄与するものと考える.また症状のいくつかが,ある程度定量化可能な現象であると立証できたことは,今後当該分野の研究を勇気づけるものであると思われる.
すべて 2020 2019
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Clinical Autonomic Research
巻: in print ページ: in print
https://doi.org/10.1007/s10286-020-00701-5
Pediatrics International
10.1111/ped.14268
小児科診療
巻: 82巻10号 ページ: 1295-1299
2020010250