研究課題/領域番号 |
16K21392
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研究機関 | 東京慈恵会医科大学 |
研究代表者 |
森 恵莉 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助教 (20408446)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 嗅覚 / 小児 / 嗅覚同定能 / 嗅覚検査 |
研究実績の概要 |
【研究の目的】小児の嗅覚障害患者は少なからず存在しているはずであるが、本人が自覚しておらず、保護者もその事実に気づいていないことが多い。そのため、医療機関には受診しないか、もしくは受診が遅れることが多いと予想される。小児の嗅覚障害はKallmann症候群を含む先天性嗅覚障害や、外傷性、アデノイド増殖症・副鼻腔炎・アレルギー性鼻炎などの鼻咽腔疾患のみならず、精神神経疾患とも関連があると言われている。嗅覚は美味しい食事を楽しんだり、危険な匂いを嗅ぎ分けたりするのに必要で、小児にとってその機会が失われることは、人格や人生を左右し、与える影響も計り知れない。しかし、嗅覚がどの程度小児に影響を与えているのかまだ分かっておらず、適切な評価がなされるべきである。現在日本で行われている保険適応の嗅覚検査として静脈性嗅覚検査と基準嗅覚検査がある。また2008年に産業技術総合研究所により嗅覚同定検査として“Open Essence:OE”が開発され、研究用として使用されている。しかし基準値はいずれも成人を対象としたもので、そのまま小児の嗅覚機能を評価できるかは分かっていない。本研究の目的は、OEを用いて小児の嗅覚機能を評価することである。 【研究実施計画】OEを用いて600名の鼻副鼻腔疾患のない健康な小児(6歳~18歳)に対し、嗅覚同定能の調査を行い、地域差や男女差ならびに年齢的な変化が生じるのか調査を行う。また、一方で、鼻副鼻腔疾患の認める小児に対しても同様に調査を行い、鼻副鼻腔疾患のない小児と同定能の比較検討を行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度から2年目にかけて約600名の正常被験者に対してこの調査を行う予定であり、現段階で概ね半分終了している。次年度には12歳~18歳の中高生をターゲットに調査を行う予定である。また正常被験者が終了次第、鼻副鼻腔疾患を持つ被検者を対象に、調査を行う予定である。いずれにしても現段階では、当初の予定通り、順調に研究は進展している。
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今後の研究の推進方策 |
次年度には中高生(12歳~18歳)の鼻副鼻腔疾患のない正常被験者を対象に、嗅覚同定能の調査を行う予定である。また正常被験者が終了次第、鼻副鼻腔疾患を持つ被検者を対象に、調査を行う予定である。同時に学会発表を行い、最終年度までには本研究の成果を論文化する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
本研究にて使用する嗅覚同定能検査であるOpen Essenceは1箱6万5千円で50人検査ができるのだが、この一箱分を、本年度購入には至らなかった為に生じた。本来対象としていた被験者が、研究に承諾を頂かなかったり、体調不良で参加できなかったりしたために生じた脱落者の分が余った為であると考える。
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次年度使用額の使用計画 |
嗅覚同定能検査であるOpen Esseneを次年度に一箱分追加して購入とする予定である。
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