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2016 年度 実施状況報告書

標高は本当に自殺のリスクなのか?-ヒマラヤ高齢者のうつ病に関する医療人類学的研究

研究課題

研究課題/領域番号 16K21394
研究機関東京女子医科大学

研究代表者

石川 元直  東京女子医科大学, 医学部, 助教 (20529929)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2018-03-31
キーワードうつ病 / 医療人類学 / 高地環境 / フィールド医学
研究実績の概要

申請者らは高地環境に対する人間の医学生理的適応について調査してきた。近年、標高と自殺率には強い正の相関があるとの報告が相次いでいるが、申請者はヒマラヤやアンデス地域に住む高齢者にはうつ病が少なく、また自然災害後の外傷後ストレス障害(PTSD)の発症頻度が低いということを報告した。宗教観や地域共同体の結びつきなどがうつ病やPTSDなどの精神障害の発症に抑止的に働いている可能性があり、本研究はその要因を医療人類学的見地から明らかにすることを目的としている。
インドの高山地帯であるラダック地方のドムカル村をフィールドワークの場とし、初年度である平成28年度には88人の住民に対して検診をおこなった。平成20年から26年まで現地の医療スタッフとともにうつ病の予備的調査を実施しており、検診はスムーズに行うことができた。検診では生活習慣病に焦点を当て、身長・体重測定、血圧測定、血液検査による糖尿病や脂質異常症のチェックを行いつつ、宗教に対する信仰心やソーシャルサポートに対する質問紙表を用いてアンケートを実施した。平成29年度も同様の調査を行い、高所環境で生活する住民の低いうつ病有病率に影響を与えている因子について検討する予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

初年度である平成28年度は検診で十分な数の住民を集めることができなかった。平成29年度は現地スタッフとの連携をより密にし、事前の広報を十分に行う予定である。

今後の研究の推進方策

生活習慣病のある住民に対しては地元の医療機関と相談し、生活指導や薬物療法により適切な介入を行う。家庭訪問やチベット医の診療所訪問も行い、どのような医療ニーズがあるか、また、チベット医によってどのような医療が提供されているか調査する。
以上のデータを分析し、うつ病の有病率を明らかにし、文化とメンタルヘルス、QOLや幸福度との関連をみる。うつ病の有病率が低い要因を抽出し、高地の人々の幸せな老いとよりよいQOLを追求する。また、うつ病によってどのような機能障害があるのか、その他の社会生活上にはどのような悪影響が引き起こされているのか、援助要請のパターンはどうなっているのか、についても明らかにし、それに関連する要因についても検討する。さらに、孤独死や自殺が問題となっている我が国のライフスタイルや老人のケアに逆照射する。

次年度使用額が生じた理由

検診で当初の予定人数より集まらなかったため。また、検診で使用する予定だった心電計が故障し、消耗品費が不要となったため。

次年度使用額の使用計画

今年度は検診の参加者を増やし、心電計を複数個持っていく予定である。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2017 2016

すべて 学会発表 (2件) (うち招待講演 1件)

  • [学会発表] ラダック地域在住高齢者のうつ病と文化的背景に関する考察2017

    • 著者名/発表者名
      遠藤彩奈
    • 学会等名
      日本心身医学会関東地方会
    • 発表場所
      東京
    • 年月日
      2017-01-28 – 2017-01-29
  • [学会発表] Depression and Medical Anthropology~What is global science and local science?~2016

    • 著者名/発表者名
      Motonao Ishikawa
    • 学会等名
      Somatization disorders and cardiovascular disease symposium
    • 発表場所
      西寧, 中国
    • 年月日
      2016-09-12 – 2016-09-14
    • 招待講演

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公開日: 2018-01-16  

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