研究課題/領域番号 |
16K21395
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研究機関 | 東京女子医科大学 |
研究代表者 |
唐澤 一徳 東京女子医科大学, 医学部, 助教 (60746452)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | CD206 / CD140b / マクロファージ / メサンギウム / 周皮細胞 |
研究実績の概要 |
組織常在マクロファージは、各組織に定常状態でも存在しているマクロファージと定義され肝臓クッパ―細胞、皮膚ランゲルハンス細胞、肺胞マクロファージなどがある。組織常在マクロファージにはそれぞれ組織特有の機能が存在していると考え、腎糸球体に常在するCD206陽性マクロファージに着目しその機能解析を行っている。我々はまず、免疫組織化学染色法を用いWild typeマウスの腎臓CD206陽性マクロファージが糸球体内のどこに局在しているかを解析した。結果として、CD206陽性マクロファージは糸球体メサンギウム領域の係蹄腔近傍に局在していた。このことから、我々はCD206陽性マクロファージは糸球体という特別な構造有する血管周囲に存在する血管周皮細胞( pericyte )の一亜型でもあるとの仮説に着想し、CD206陽性マクロファージと現在まで報告されている様々なpericyteマーカーとの共染色を行った。pericyteマーカーの一つであるPDGFRβ( CD140b )と共染色を行ったところ、全てのCD206陽性マクロファージが CD140b を発現している(mergeしている)ことがわかった。定常状態の糸球体メサンギウム領域には、CD206、CD140b double positiveマクロファージが存在していることと同時に一部CD140bのみを発現している細胞も存在しておりメサンギウム領域に存在している細胞にも多型があることがわかった。これらの実験成果及び今後の機能解析結果は、メサンギウム増殖性糸球体腎炎等において新たな治療のターゲットになりうる可能性があることや、定常状態でも存在している点において生理的にも意義が大きいと考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在までの間に、CD206陽性細胞と完全にmergeする周皮細胞マーカーを同定できた。糸球体内でこの2つが共発現する細胞はメサンギウム領域にしか確認されなかったため、現在最適化を行っているマウス腎全体からの糸球体単離法が確立されれば、フローサイトメーターを用いてさらに詳細なCD206、CD140b共陽性細胞のキャラクタライゼーションや、最終的にはセルソーターを用いた細胞単離が可能となると考えている。この道筋が、一年間でつけられたことにより概ね順調に進展していると判断している。
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今後の研究の推進方策 |
現在進捗中である糸球体単離法を確立しここからフローサイトメトリー法を用いてフローサイトメーターを用いてさらに詳細なCD206、CD140b共陽性細胞のキャラクタライゼーションや、最終的にはセルソーターを用いた細胞単離を行う。これと並行してCD206、CD140b共陽性細胞が糸球体内ではメサンギウム領域に限局していることから疾患モデルとしては巣状糸球体硬化症モデルである(メサンギウム細胞増殖、メサンギウム基質の拡大確認できる疾患モデル)アドリアマイシン腎症を疾患モデルに選定し定常状態、疾患誘導モデルにおけるCD206、CD140b共陽性細胞を単離しDNAマイクロアレイ法などで機能解析を加え糸球体腎炎に対する新規治療法につながる分子を同定していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
マウス腎糸球体単離法について検討した結果、最適化した単離法に必要な実験器具一式の購入が2017年4月になったため。
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次年度使用額の使用計画 |
磁気ビーズを用いたマウス腎糸球体単離法に必要な実験器具一式の購入により、マウス4-6匹から同時に糸球体を単離することが可能となり実験結果の精度がより高まる。
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