研究課題/領域番号 |
16K21403
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
市川 寛子 東京理科大学, 理工学部教養, 講師 (60540367)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 視線行動 / 性格特性 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、心理指標と行動指標を組み合わせ、大学生における自閉性症状をはじめとした性格特性を定量的に記述する手法を確立することである。自閉性症状の評価には質問紙検査などの質問紙検査などの心理指標が用いられるが、被検者の主観報告に依存して回答が歪みうる。一方で、近年、自閉症者と非自閉症者では人の顔に対する視線行動が異なることが報告されており、この非随意的に生じる視線行動の違いは自閉性症状の高低を記述する客観的な行動指標となりうる。また、自閉性症状だけでなく、基本の性格特性や共感性についても視線行動および生理指標計測との対応をとることで、ヒトを記述するための客観的な指標を確立することを目指す。 本年度は、課題1として設定した、質問紙の選定および視覚刺激の選定を行った。顔から表情をよみとるまなざし課題(Baron-Cohen et al., 2001)を大学生を対象として行ったところ、共感性の高さとまなざし課題の間に関連はみられなかった。その一方で、教職課程履修中の大学生に限っては、共感性の高さとまなざし課題の間に強い関連が見られた。これは大学生の中でも、共感性にもとづく表情認知を行う群と行わない群が混在していること、その群は大学で受けている教育課程あるいは将来目指す職業によって分けられうることを示唆している。これらの研究は論文として公刊し、さらに国内会議でも発表した。 さらに、当初予期しなかった共同研究の機会に恵まれ、身体動作と自閉性症状および性格特徴との関連を検討する課題を新た実施することとなった。その成果は国際会議および国内会議で発表したほか、論文として公刊した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
課題1および課題2で目的としていた、自閉性症状を説明する視線行動のパラメータ抽出は被験者のリクルートに困難があり、実験に時間がかかっている。科研費を用いて被験者をリクルートする上での謝金支払いに係る学内手続きに困難があり、実験実施時期のめどが立ちにくい。 その一方で、当初予期しなかった共同研究の機会に恵まれ、視線行動ではなく身体動作から自閉性症状との関連を示唆する結果が得られている。今後は視線行動のパラメータ抽出と並行して、身体動作との関連を検討することでさらに新しい知見が得られると期待できる。
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今後の研究の推進方策 |
視線行動の解析を継続するほか、身体動作の計測を行っていく。これにともない、被験者リクルートに力を入れる。
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次年度使用額が生じた理由 |
被験者リクルートが滞り、謝金・人件費としての支出がなかったため。
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