研究実績の概要 |
本研究はまず、企業活動について、より一般的な財に比べて、消費者の活動と企業の活動に密接性が高いオンラインゲーム産業における事例分析を行った。事例の対象となったのは「ガンホー」は2002年からPCプラットフォームにて海外オンラインゲームの国内サービスを始めており、2012年に「パズル&ドラゴンズ」というスマートフォン用ゲームをリリースしている。本研究では、このような主力プラットフォーム転換という環境変化(技術革新)の時期に、探索と活用のバランスがどのように変化したかについて検討を行った。ガンホーが行った活動をAnsoff(1957)の成長マトリクスに基づいて、市場と製品に関して、両方が新規である活動を探索とし、それ以外の活動を活用と定義して、活動を分類した結果、既存市場・既存製品の分野での活動である市場浸透と、新規市場・新既製品の分野での活動である多角化において結果としての成功がみられた。環境変化(技術革新)前に探索傾向が高まり、環境変化(技術革新)後に(新資源の)活用傾向が高まることが明らかになった。ただし、技術革新前後の段階で既存資源の再活性化を図るという点での(既存資源の)活用傾向が高まるという揺らぎが存在していた。この研究結果は国内学会にて発表されている(一小路, 2018)。 また、消費者活動に関してはスマートフォンのアプリケーションに関して、消費者のイノベーションのの先行要因について明らかにした。先行研究で十分に検討されていないイノベーションの質という観点を導入して分析を行った結果として、以下の点が明らかになった。顧客志向はユーザーイノベーションの最も大きな要因となり、質という観点でも大きな影響を与えていたということである。この研究結果は海外学会誌にて受理されている(Bosul, Katsumata,&Ichikohji, 2019)。
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