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2018 年度 実績報告書

ベルギーの2つの民族運動における言語の役割についての研究

研究課題

研究課題/領域番号 16K21407
研究機関日本大学

研究代表者

石部 尚登  日本大学, 理工学部, 助教 (70579127)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2019-03-31
キーワード言語運動 / 民族運動 / ベルギー / フランデレン運動 / ワロン運動
研究実績の概要

本年度前半は,昨年度に引き続き収集済みのワロン運動に関する資料の分析を継続するとともに,2018年8月にベルギーに短期滞在し,昨年度やや遅れていたフランデレン運動に関して,新・旧の『フランデレン運動百科事典』で参照されている文献,パンフレット等を中心として資料の収集を行った.年度の後半は,昨年度の研究成果として確認した両運動の言語観が顕著に現れている19世紀を中心として資料の分析をすすめた.
本研究の成果として,ベルギーという文脈において民族運動を展開するうえで言語の「権威」を最大限利用する必要があったこと,ゆえに隣国の言語を「自らの言語」として採用する選択は不可避であったこと,そしてそうした状況は両運動に共通であったことを明らかにした.ベルギーの民族運動,フランデレン運動とワロン運動は,これまでとりわけその対抗性が強調されてきたが,まさにそうした「対抗性」が隣国の言語を「自らの言語」として採用した主要因であったことを示したことに意義がある.
また,隣国言語の取り込みに際して,双方独自の「言語/方言」意識の構築が重要な役割を果たしたことも明らかにした.隣国の言語と本来の土着の言語の関係を双方独自に解釈することで,「運動のための言語」と「民族の紐帯としての言語」を矛盾なく結びつけることを可能とした.こうした観点からベルギーの両民族運動にとっての「言語」を捉えると,時代や地域をこえた様々な民族言語運動(地域語復権運動・民族自立運動・植民地解放運動など)と同一の構造でベルギーの両運動を理解することができる.以上の成果の大枠は,2019年3月に「フランデレン運動とワロン運動、両運動にとっての「言語」」として報告した.

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2019 2018

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件) 図書 (2件)

  • [雑誌論文] ワロン語辞書と正書法―非公的言語の書記規範2018

    • 著者名/発表者名
      石部尚登
    • 雑誌名

      日本大学理工学部一般教育教室彙報

      巻: 104 ページ: 1-10

    • 査読あり
  • [学会発表] フランデレン運動とワロン運動、両運動にとっての「言語」2019

    • 著者名/発表者名
      石部尚登
    • 学会等名
      第78回ベルギー研究会ブリュッセル大会
  • [学会発表] 1866年条約以前のベルギーの対日交渉計画と日本認識2018

    • 著者名/発表者名
      石部尚登
    • 学会等名
      第77回ベルギー研究会
  • [図書] 現代ベルギー政治 連邦化後の20年2018

    • 著者名/発表者名
      石部尚登(第6章 言語・教育政策)
    • 総ページ数
      282
    • 出版者
      ミネルヴァ書房
    • ISBN
      9784623081219
  • [図書] 批判的談話研究とは何か2018

    • 著者名/発表者名
      石部尚登(翻訳 第 8 章 視覚的・マルチモーダルなテクストの批判的分析)
    • 総ページ数
      399
    • 出版者
      三元社
    • ISBN
      9784883034536

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公開日: 2019-12-27  

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