研究課題/領域番号 |
16K21411
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
八塚 春名 日本大学, 国際関係学部, 助教 (40596441)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 生業活動 / 植物の認識と利用 / 狩猟採集民 / タンザニア |
研究実績の概要 |
平成30年度は、8月に約1か月間のタンザニアにおける現地調査を実施し、それ以外の期間は日本において資料の分析や文献研究をおこなった。現地調査では主に、以下の2点について調査をおこなった。 ①昨年度の現地調査からの継続課題として、サンダウェによる植物の利用と認識の関係性を明らかにすることを目指した。今回は調査村において、複数本のAlbizia tanganyikensis(マメ科)を生育地から農地や丘の裾などへ移植実験を試みた。今後、その生育地の環境が幹の硬度や幹の形態にどう影響し、さらにそうした形質的な変化が人々の植物に対する認識と利用にどう関係するか、継続的に調査をおこなうことを予定している。同種の樹木は非常に生長が早いため、来年度にはある程度の示唆が得られると考えている。 ②以前から調査の対象としてきた狩猟採集民ハッツァの集落が、これまでのキャンプ地とは離れた場所に新たなキャンプを設けていた。平成24年からの継続的な調査において、同集落はずっと同じ場所に位置していたため、こうした場の変化が、植物利用や生業活動にどのように影響するのか、来年度に継続調査を行いたい。 また、現地調査時に、ハッツァの土地権取得を支援するNGOの関係者と意見交換をおこなうこともできた。 さらに平成30年度には、これまでの研究成果を2つの国際学会と1つの国内学会にて発表するとともに、英語論文1本と日本語論文を3本、また書籍の分担執筆をした書籍1冊を公刊した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ハッツァの植物利用のデータを個人を対象に収集することを計画しているが、乾燥地である調査地においては雨季に渡航しなければデータが取れない。30年度は、シンポジウムの登壇や原稿執筆、さらに職場の異動が重なり、タンザニアの雨季にあたる2-3月に現地調査ができなかったため、雨季のデータを収集できなかった。一方で、日本にいる間に、原稿を執筆したり、学会発表をおこなうなど、成果発表はおおむね順調に進展できた。
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今後の研究の推進方策 |
平成31年度以降も、当初の計画に沿って、研究を進める予定である。とくに30年度にできなかった雨季における資料収集をおこなうことと、過去の空中写真の分析をおこなう。空中写真の分析については、生業の変化にあわせて、どのように土地利用が変化してきたのかを視覚的に表すことを目指している。また、最終的な成果報告も、国内学会での発表とともに複数の論文の執筆を予定している。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初、雨季にあたる2-3月に渡航をする予定をしていたが、複数の成果論文の執筆、シンポジウムの登壇、職場の異動が重なり、渡航ができなかった。そのため、渡航費用として予定していた額を次年度に繰り越し、31年度にそれを使用して調査を遂行する。
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