研究課題/領域番号 |
16K21412
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
久保田 裕之 日本大学, 文理学部, 教授 (40585808)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | ホームシェア / 世帯 / 世代間交流 / 居住の貧困 / 高齢者の見守り / 居住福祉 |
研究実績の概要 |
三年目となる平成30年度は、1)国内事例のヒアリング、2)社会政策にかかわる国内学会での報告、および、3)ホームシェア世界会議での報告と情報収集を行うことを通じて、世代間協同居住の理論化を行った。 第一に、年間を通じて断続的に、東京、京都のホームシェア事業者でのヒアリング調査を行った。具体的には、東京世田谷区の事業者であるハート・ウォーミング・ハウス(2ペア)、ならびに、京都府住宅課が運営する京都ソリデールの関連事業者(3ペア)を中心に、高齢者居宅を尋ね、オーナー高齢者および共同生活者である学生にホームシェアへの参加の動機や生活上の問題点などについて話を聞いた。 第二に、社会政策学会大会に参加し、研究報告・情報収集を行った。具体的には、9月に北海道札幌市の北海学園で開催された社会政策学会において、とりわけ住宅政策の観点から自治体によるホームシェア支援事業のあり方についての研究報告を行い、社会政策・住宅政策の専門家から助言を受けた。また、関連する研究として、自治体の同性カップルに対する住宅・居住政策についての(共同)研究報告も行った。 第三に、2019年3月にブリュッセル(ベルギー)で開催された世界ホームシェア会議に参加し、日本でのホームシェア事業の展開についての研究報告を行うとともに、ブリュッセルのホームシェア事業者「アントワ・ドゥザージュ」のもとでホームシェアを実践する高齢者と若者(5ペア)に会議の合間の時間を使って短時間のヒアリング調査を行った。また、この会議には世界中のホームシェア事業者が一堂に会する機会でもあったため、日本のホームシェア事業者であるハート・ウォーミング・ハウスの代表である園原一代氏と共に参加し、運営上の問題点や工夫などを議論する仲で、日本のホームシェア事業者と海外のホームシェア事業者との違いなどの情報収集を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の研究計画どおり、国内事例のヒアリング、および、ベルギーでの世界ホームシェア会議での報告ならびに情報収集を終えたため、残るは最終年度の研究のとりまとめと成果の出版を行うのみとなっている。最終年度に第二回ホームシェア会議を開催することになるという点では当初の計画以上に進んでいるともいえるが、最終成果物である書籍の出版にむけてはやや計画の送ればみられるため、全体としては概ね順調に進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度である平成31年度は、1)「第二回日本ホームシェア会議」の開催、2)アジア研究に関する国際学会での研究報告、3)最終成果物としての書籍の執筆・編集、といた形で研究を進めていく。 第一に、当初の研究計画では一回のみの開催を予定していた「日本ホームシェア会議」(第一回は2016年度に開催)について、国内事業者から2年に一度を目安に開催したいとの要望を受けて、京都府の事業者と相談した結果、「第二回日本ホームシェア会議」を7月ごろ京都で開催する方向で調整している。前回よりも大規模でより多くの事業者を集めて報告・議論を行うことで、国内事業者の連携、および日本のホームシェアに関する調査・議論を継続していく。 第二に、7月にライデン大学で開催される「ICAS11(アジア研究者の国際会議・報告」において、日本のホームシェアの特徴に関する研究報告を行い、とりわけ多のアジア諸国との比較の観点から情報収集を行う。研究報告はすでに申請され、受理されたことで、報告が内定している。 第三に、最終成果物としての書籍『ホームシェアという暮らし方』(課題)の執筆、出版に向けて各事業者と連携を図っていく予定である。この点、出版を引き受けてくれる出版社がなかなか見つからず、また執筆分担など編集作業についてはやや遅れているため、7月のホームシェア会議を一つの目安として、今年度の前半を使って進めていく必要がある。
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次年度使用額が生じた理由 |
2018年度末にブリュッセル(ベルギー)で開催された世界ホームシェア会議の旅費よび参加費が、会計処理の都合で2018年度中の精算ではなく2019年度の精算にまわっているため、見かけ上は次年度使用額が生じているものの、2019年度4月の時点で解消される予定である。
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